従業員の健康維持・増進への取組みがモチベーションや生産性を向上させ、企業の収益拡大にもつながるとの方針のもと、「健康経営」を経営戦略の一環として取り組んでおります。また、NTTグループでは多様な働き方に対応した人事制度、従業員やその家族を対象とした福利厚生を充実させています。
従業員本人はもとより、従業員を支える家族の健康保持・増進にも配慮することが、従業員一人ひとりの働く意欲や活力の向上、ひいてはグループの成長と発展につながるものと考えています。従業員の安全については、事業運営において何よりも優先すべきものと考えています。労働安全衛生の確保については、労働基準法および労働安全衛生法等の関係法令などの遵守はもとより、安全管理および健康管理を目的に「安全管理規程」「健康管理規程」などを定めています。また、常時従事する社員等が50人以上の事務所に安全衛生委員会を設置するほか、健康管理医(産業医)を選任しており、各事業場の個別業務に関連するリスクのアセスメントと措置を行い、全社員の健康診断の実施義務を確実にするとともに、長時間労働の把握・管理や低減に向けた施策を展開しています。NTTグループの事業の中には、電気通信設備などの工事や保守業務など高所作業などの危険をともなうものもあるため、委託先会社等の協力会社も含めたNTTグループ全体で事故を防ぐための各種対策や安全意識の向上に継続的に取り組んでいます。
関係法令や社内規程等にもとづく安全対策・安全管理体制の構築・整備はもとより、NTTグループ横断で事故防止に向けた安全衛生委員会を設置し、NTTグループの事業を支える電気通信設備工事における事故の防止や安全な作業環境の整備に取り組んでいます。安全衛生委員会のメンバーは、各組織の労働者側代表委員と衛生管理者・安全管理者等の会社側代表委員および中立的立場である議長(総括安全衛生管理者)、産業医で構成され、毎月の委員会の中で、安全衛生に関する取組みの振り返りと優先対応すべきリスクの特定や目標の設定、具体的な行動計画を策定しています。
またNTTグループでは、健康経営を推進するための体制として、会社とNTT健康保険組合がコラボレーションした「健康経営推進会議」を設置し、執行役員等のグループ会社人事部長とNTT健康保険組合の役員を推進責任者に指定し、「健康経営計画の策定+健康目標の設定(P)」→「健康施策の策定・実施(D)」→「健康実績の把握・確認(C)」→「健康施策の効果検証(A)」とPDCAを回すことで、効果ある取組みとしていきます。
また、ヘルスデータを活用した健康目標(KPI)を設定し、その達成に向けた健康意識の向上と推進活動を促進するための各種施策を検討し、展開しています。
その他、安全衛生に関する取組みとして、NTTグループ健康表彰を開催し、各社の優良事例の水平展開を行い、より良い職場環境改善に役立てています。
⑰-3業務災害発生件数
2022年度実績:6件
2023年度実績:4件
2024年度目標:0件
⑰-4プレゼンティーイズム損失率(QQmethod)
2022年度実績:6.0%
2023年度実績:5.5%
2024年度目標:6.0%以下
NTTグループトータルで選択型福利厚生制度(カフェテリアプラン)を導入しています。人間ドック受診や健康IT機器の取得などの健康増進に加え、財産形成支援などのカフェテリアメニューを提供しており、従業員各自が付与されたポイントを使って、自由にメニューを選択することができます。また、ポイントを使用せずに従業員が利用できるコアメニューとして、年齢とともに発生リスクが高まる「生活習慣病」や「がん」をはじめとした疾病の早期発見のため人間ドックや遺伝子検査を提供しています。さらには、フィットネスクラブの利用補助やスマートフォンアプリを活用した健康活動促進メニューなども提供しており、いつでも自由に利用することができます。
「カフェテリアプラン」の主なメニュー
健康増進 | 人間ドック(オプション検査補助含む)、ベストドクター紹介、マルチオピニオン、ウエアラプル端末等の健康IT機器取得 等 |
---|---|
財産形成 | 各種財形貯蓄奨励金、社員持株会 等 |
住宅関連 | 社宅・寮入居、持家取得支援 等 |
全ての従業員が利用できるコアメニュー(ポイント申請不要)
健康増進 | 人間ドック・遺伝子検査(30歳時を起点に60歳までの間、5年ごと)、60歳超契約社員のシニアドック |
---|---|
生活援護 | NTTベネフィットパッケージ(フィットネスクラプの利用補助、育児・介護支援、レクリエーション利用など) 等 |
財産形成 | 一般財形貯蓄 等 |
住宅関連 | 提携ホームローン 等 |
その他 | 保険・共済 等 |
NTTグループはICTを活用した、フィジカルヘルス対策に取り組んでおり、具体的には、以下2つの取組みを重点的に実施しています。
リフレッシュの仕方・食事・睡眠等に関する情報、 NTTグループシンボルスポーツ選手等の「エクササイズ動画」をプッシュ型で配信・健康活動の定着
社員の利便性を考慮し、スマートフォンアプリから、好きな時間・場所で特定保健指導を受検できる ICT特定保健指導を導入
その他、持株会社含め、各グループ会社独自で、それぞれの健康課題に則したウォーキングイベント、セミナー等の施策を企画し、実施しています。
【参考数値】 持株会社におけるウォーキングイベントの参加状況:29.7%
NTTグループは、メンタルヘルスに関して社内外に相談窓口を設けているほか、ストレスチェック、過重労働面談、管理者に対するラインケア研修の実施など、メンタルヘルスの対策を実施しています。また、リモート型の働き方を推進する中、メンタルヘルス対策として簡易な問診を定期的に行うことで、社員の変調を把握・管理(セルフケア)するとともに、上長とのコミュニケーション(ラインケア)を促す仕組みとして、よりリアルタイムな意識の定点観測が可能な「パルスサーベイ」を実施しています。
【参考数値】※1 ストレスチェック受検率 : 95.3%
※1バウンダリー:[B]
2023年度、電気通信設備・建物設備の構築・維持に関して、NTTグループ各社が発注した工事および保守業務(直営または請負による実施)において重篤人身事故※は0件でした。
人身事故の防止に向けては、基本動作の再確認・再徹底や作業者一人ひとりの安全意識向上に向け、グループ一体となって継続的に取り組んでいます。特に、過去交通誘導員が巻き込まれる事故が連続したことや班長を含むベテラン社員が被災者となるケースが多く発生したことを踏まえ、作業前のミーティングにおける確認、KYT活動の徹底および班長を含むベテラン社員への再教育の実施等に取組み、NTTグループ社員だけでなく、NTTグループ各社が発注した工事及び保守業務に関わるすべての作業者への働きかけを継続して実施しています。
さらに、通行車両の飛び込み事故防止に向けた取組みや、AI等の先進技術を活用した取組みをグループ一体となって検討するなど、人身事故ゼロ化・安全な労働環境の提供に向けた活動に継続的に取り組んでいます。
※重篤人身事故:「死亡」もしくは「永久労働不能」となった事故
※横スクロールできます
2021 | 2022 | 2023 | |
---|---|---|---|
NTTグループ各社における重篤事故発生件数 | 4 | 2 | 0 |
通信事業者として、ビジネスパートナー企業への発注工事やNTTグループ各社で実施する工事/保守における安全管理を行っています。
過去からの事故データを基に分析を行い、特に重篤事故につながりやすい事故型6ケースを特定し、事故抑制に向け取組みを続けています。6ケースに対しては優先的にリスク低減のための取組みを実施し、「電気通信設備工事/保守における人身事故"0"」という目標の達成に向けて取り組んでいます。
具体的には、安全意識向上と先進技術の活用の観点から取組みを実施しています。安全意識向上に向けた取組みとして、現場で作業をされる方へ毎月注意喚起に関するメッセージの配信、過去の事故を基に作成した安全啓発に関する動画配信等を実施しています。
先進技術を活用した安全の取組みとして、事務所から現場作業の状況を遠隔で見守り、現場では気づかない危険の排除をサポートするなど、安全に作業を実施するための2WAY確認を実施しています。
人身事故の発生を未然に防止するため、NTTグループ各社の地域の安全担当者等において工事/保守現場の安全パトロールを実施しています。パトロールはチェックシートに基づき、作業状況、環境・作業員の適正配置・安全装備品を正しく使用しているか等を確認します。
電気通信設備工事/保守において人身事故が発生した場合は、事故発生会社より安全システムを通じて、事故の状況、要因、対策等をNTTグループ各社および協力会社へ発信・共有し、同様な事故の再発防止を図っています。
再発防止策として下記4つの取組みを実施することで、事故件数低減に努めています。
NTTグループ各社で重篤な事故が発生した場合や連続して事故が発生した場合、各社の安全推進室等は工事/保守組織および協力会社に向けて緊急事態宣言を発令し、一層の安全の取組み強化を一定期間実施しています。
NTTグループ各社および協力会社において、過去に発生した事故情報や対策等を蓄積・共有できる仕組みを活用し、再発防止に向けて取り組んでいます。
年2回、NTTグループ各社において設定し、NTTグループ各社および協力会社を対象に正しいルールと作業手順の再確認、安全作業に関する理解度テスト等を実施し、安全意識の向上に取り組んでいます。
人身事故撲滅に向けてNTTグループ各社の副社長等をトップとする安全の責任者を集めた委員会を年1回開催しています。
事故撲滅に向けて、組織・個々人の安全意識の向上、迅速な事故発生情報の共有、定期的・継続的な安全啓発活動をテーマとして運営しています。
関係法令や社内規程等に基づく安全対策・安全管理体制の構築・整備はもとより、NTTグループ各社に設置された安全推進組織との定期的な情報交換や施策の展開などにより、NTTグループの事業を支える電気通信設備工事/保守における事故の防止や安全な作業環境の整備に取り組んでいます。
作業環境の安全性を十分に確保するとともに、関連する当社従業員へ必要な安全装備(保護具など)を提供しています。また発注工事や保守業務に携わる作業員に対して、作業具や設備の使用ルールを浸透させた上で工事/保守業務を実施しています。
NTTグループでは、従業員の健康の保持・増進に向け、定期健康診断の充実と、診断結果を踏まえた健康指導を行っています。さらに、生活習慣病対策として、希望者に対して人間ドックの受診機会を提供するとともに、30歳を起点として60歳まで5年ごとの人間ドックの受診を必須としています。加えて、スポーツジムの利用希望者への支援も実施しています。また、健康保険組合と連携し、日々の歩数などのバイタルデータを記録・確認、健康診断データをもとにメタボや高血圧に関する将来の健康リスクを予測・シミュレーション機能を具備したアプリを提供し、従業員の健康行動のサポートを実施しています。加えて、食堂が設置されている事業所では栄養士の管理による昼食を提供しているほか、一部の事業所においては、仕事の合間のリフレッシュとレジリエンスを高めるために気軽に利用できるマッサージサービスも提供しています。
バウンダリー | 2022年度 | 2023年度 | 備考 | |
---|---|---|---|---|
定期健康診断受診率 | B | 98.5% | 99.2% | |
精密検査受診率 | A | 81.1% | 88.0% | |
適正体重者率 | B | 63.3% | 63.0% | BMI:18.5以上25未満 |
血糖リスク保有者割合 | B | 5.3% | 7.5% | 空腹時血糖 126mg/dl以上 またはHbA1c 6.5%以上 |
血圧リスク保有者割合 | B | 16.2% | 16.2% | 収縮期 140mmHh以上 または拡張期90mmHg以上 |
脂質リスク保有者割合 | B | 3.3% | 3.9% | 中性脂肪 300mg/dl以上 またはHDL 34mg/dl以下 |
運動習慣者割合 | B | 23.6% | 24.9% | 週に2回×30分以上の運動 |
十分睡眠者割合 | B | 70.0% | 68.0% | 普段とっている睡眠で休養が「充分とれている」、「まあまあとれている」と回答した者 |
非喫煙者の割合 | B | 78.9% | 79.3% |
NTTグループは、36協定の遵守はもとより労働者の健康の保持を目的に、過重労働発生リスクのアセスメントと是正対策を行っています。たとえば、パソコンのログオン・ログオフ時刻をシステム上に記録し、オフィスワーク・リモートワークを問わず、従業員一人ひとりの労働時間を適正に管理することで、過重労働の防止に努めるとともに、長時間労働者に対しては、健康管理スタッフによる過重労働面談において、健康管理に向けた適切な助言・指導を行っています。このような取組みや過重労働状況については、安全衛生委員会への定期的な報告を行うことで、リスク低減の効果を確認するとともに、さらなる取組みの強化につなげています。
NTTグループでは、新型インフルエンザ、地震、豪雨、テロ、その他緊急事態が生じた際に、従業員の安全を確保するための体制を整えており、緊急事態発生時には、必要に応じて対策本部を設置し、「災害対策基本法」や「国民保護法」等に基づき当社が定めた「防災業務計画」「国民保護業務計画」等に則り、社員の安全確保に向けて適切な措置を講じます。また、発災直後から安否確認システムによる従業員の安否確認を実施し、迅速に安否回答状況を集約します。集約した情報は、対策本部から経営層に迅速かつ的確に伝達します。
また緊急事態に備えるため、安否確認システムを利用した従業員の安否確認訓練を年2回実施しています。
さらに、平時からの安全対策として、社員の安全を最優先とし、飲料水や食料などの生活必需品を全国の拠点に備蓄し、緊急事態発生時にも従業員の活動に必要な物資類を確保できるよう努めています。
労働災害が発生した場合は、労働災害専用の報告ルートを通じて報告され、死亡・重傷等の重大な結果を伴う場合や、法令違反等が疑われる場合はコンプライアンス報告ルートも通じて報告するプロセスを整備しています。事故発生時の分析等、労働災害に対しては適切に対処(調査、所見への対応等)し、再発防止に努めています。
海外に赴任する社員・帯同家族の健康と安全を確保するために、赴任前・赴任中の一時帰国時・帰任後の健康診断受診義務化をはじめ、海外旅行傷害保険の加入、全海外赴任者・海外出張者を対象とした有事発生時の安否確認などさまざまな取組みを行い、安心して海外で働くことができるようサポートしています。
管理職を除く日本国内の社員のほとんどは、日本労働組合総連合会の加盟組合であるNTT労働組合の組合員であり、労使関係は安定しています。過去30年以上にわたりNTT労働組合によるストライキは発生していません(2024年3月現在の加入率78.2%)。なお、NTT労働組合とは雇用、労働条件、労働安全衛生にかかわる諸課題に加え、これらに影響を及ぼす事業運営上の諸課題についても労使間で協議する等、団体交渉事項以外の経営に関わる重要課題についても、時宜を捉え議論しています。
組織的変更にあたっては、全ての労働組合と協議・交渉した上で実施しています。これまでに一時解雇(レイオフ)にあたる実績は発生していません。
経済産業省が、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を顕彰する「健康経営優良法人2024」の「大規模法人部門」において、上位500の企業にのみ与えられる称号ホワイト500に認定されました。
NTTグループ企業において、健康企業宣言東京推進協議会が健康企業宣言をしている企業の中で特に成果を上げた企業に対して認定を行う「金の認定」を受けました。
社会
サステナビリティ
NTTとともに未来を考えるWEBメディアです。