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2023年12月15日

デジタイゼーションとデジタライゼーションでスマート農業に貢献

デジタイゼーションとデジタライゼーションを耳にしたことはありますか?
いずれも似た言葉ですが、概念は異なります。今回はデジタイゼーションとデジタライゼーションの概要やそれぞれがビジネスにどう関連するかについて解説します。

デジタイゼーションとデジタライゼーションの違い

デジタイゼーションとデジタライゼーションは、それぞれ似ていることから混同されやすい言葉です。
 しかし、それぞれの内容には大きな違いがあります。

デジタイゼーションは、アナログデータをデジタルデータにすることを意味します。
 その際、既存の業務プロセスには手を加えず、既存の状態を維持したままデジタル化します。
 仮に、部署でデジタイゼーションを行うとするなら、紙ベースの業務プロセスをデジタル化させるような、一部の業務のデジタル化が進むでしょう。
 一方のデジタライゼーションは、デジタル技術を使って業務や製造のプロセスをデジタル化します。
 プロセスの根本から変更することもあるため、「部署」の規模ではなく、社内全体もしくはワークフロー全体をデジタル化するようなイメージです。

以下でそれぞれについて例を挙げて詳しく解説します。

【デジタイゼーション】

デジタイゼーションは、物理的な情報やデータをデジタル形式に変換するプロセスを指します。
 アナログ形式の情報(紙の文書、写真、音声など)をデジタル形式(デジタルファイル、データベース、電子書籍など)に変換することで、情報の保管や共有が容易になります。
 デジタイゼーションによって、情報のアクセス性や検索性が向上し、効率的なデータ管理が可能になります。
 たとえば、図書館が古い書物をスキャンしてデジタル化する、企業が紙の契約書を電子文書に変換するなどがデジタイゼーションになります。

【デジタライゼーション】

デジタライゼーションは、デジタル技術を活用して業務プロセスやサービス、ビジネスモデルを改善し、効率を高めたり新たな価値を創造したりするプロセスを指します。
 デジタライゼーションは単なるデータの変換以上の意味を持ち、デジタルテクノロジーを活用して組織や個人の取組みを変革することを意味します。
 具体的には、従来のビジネスプロセスをデジタルワークフローに置き換えて効率化する、オンラインプラットフォームを活用して新たなサービス提供を行うことなどが該当します。

デジタイゼーションで変化するビジネス

画像:デジタイゼーションで変化するビジネス

デジタイゼーションで変化するビジネスは非常に多く、中でも以下の分野で大きな変化が見られると考えられています。

  • 教育
  • マーケティング
  • 生産・製造
  • カスタマーサービス
  • ヘルスケア
  • エンターテインメント

業務やコンテンツなどをオンライン化したり、チャットやSNSなどでのコミュニケーションが主流になってきたことにより、幅広い分野で変化が見られます。
 とはいえ、上位の分野は一例であり、実際にはさまざまなビジネス分野でデジタイゼーションによる変化が進行しています。
 デジタイゼーションの進展には柔軟な対応と戦略的な計画が求められます。
 近年は、医療業界においても、電子カルテや遠隔診療、健康モニタリングなどが進んでいて、将来的にはさらなる安全性・利便性の向上などの変化が見られると予測されます。

デジタライゼーションが影響するビジネス

画像:デジタライゼーションが影響するビジネス

一方でデジタライゼーションも、ほとんどの業界やビジネスに影響を与えることが考えられます。
 小売業や金融業、ヘルスケア、製造業のほか、メディア業界やエネルギー業界も影響するでしょう。
 デジタライゼーションによって、オンライン販売プラットフォームの発展やモバイル決済の普及が進んだり、製造プロセスの自動化などによって、多くの現場で生産性やサービス品質の向上などが期待されています。

デジタイゼーション・デジタライゼーションで進化する農業

画像:デジタイゼーション・デジタライゼーションで進化する農業

農業は今、デジタイゼーションとデジタライゼーションによって進化しています。
 デジタルマッピングやGPS技術を活用して、畑の細かな部分ごとに異なる施肥や水やりを行う精密農業が実現します。これによって資源の効率的な利用や収量の向上が期待されます。

また、農産物の生産から流通までのプロセスをデジタル化し、品質管理やトレーサビリティ(食品の移動を把握できること)を強化します。
 消費者は産地や生産過程に関する情報にアクセスできるため、食品安全性への信頼が高まります。

ほかにも、農地にセンサーやデバイスを設置して、リアルタイムでデータを収集し、ネットワークを介して解析・共有することで、農業プロセスを最適化します。自動灌漑、畜産のモニタリング、倉庫管理などで活用されます。
 デジタルデータを元にした人工知能(AI)の活用により、病害虫の早期予測や収穫時期の最適化などの意思決定を支援します。これによって農業の生産性と持続可能性が向上します。

実際、近年はIoTと農業の融合により、すでにさまざまな事例が誕生しています。
 たとえば、野菜や果物を栽培している農業に多い「ビニールハウス」を活用した事例を見てみると、IoTならではの「見える化」「徹底管理」「状況把握」などを実現しています。
 農作物の成長に欠かせない温度・日射量・湿度の3点をクラウドサービスを介してデータ化します。
 人の手だけでは把握が難しいそれぞれの数値を見える化して、農家本人が確認することができるのです。
 仮に、異常な数値が確認された場合には、ビニールハウス内のカーテン開閉や、温度機器の調整などの対応を速やかに判断できるため、作物の全損を回避することにつながります。

画像:デジタイゼーション・デジタライゼーションで進化する農業

また、クラウドを通してインターネット上で園場の状況を把握できます。
 そのため、園場をこまめに巡回する必要もなく、手間や人件費などのコストを削減しやすくなるでしょう。
 IoTによって記録されたデータは蓄積していくことが可能です。
 蓄積したデータをもとに、品質の管理・工場や安定化を実現できるため、農作物にありがちな傷みや変色などが生じにくくなり、損害の削減も期待できるでしょう。

ちなみに、蓄積したデータは、本人だけで活用が完結するわけではありません。
 たとえば、農業組合にデータを提供して情報共有としての活用が可能になりますし、後継者や新たに農業業界に参入する就農者へ提供して、データに基づいた栽培を実現するなど、さまざまな活用方法があります。

日本は、人口減少や農業業界の人手不足などにより、さまざまな課題が生じているとされていますが、上記の通りIoT×農業によって、それらの課題が解消される方向へと進み始めています。

スマート農業実現に向けたNTTの取組み

画像:スマート農業実現に向けたNTTの取組み

NTTでは、スマート農業実現に向けて、ICTやロボットなどを駆使した最先端技術による取組みを行っております。

昨今の日本の農業における人手不足や耕作放棄地の増加、食品ロスなどの課題は食料安定供給を揺るがす社会問題へと発展することが考えられ、これらの課題を、ロボット農機等による農作業の抜本的な省力化を通じて解決を図る取組みです。 農業に関わる流通やメーカといった各分野に精通する国内外のビジネスパートナーのノウハウと、NTTグループのICTで、農業のさまざまな課題解決を図るとともに、新たな価値創出へと繋げています。

また、ビジネスパートナーとの連携によって、生産から消費に至るまでのプロセスをつないだ食農バリューチェーンを実現しています。

NTTグループ唯一の一次産業専業会社「株式会社NTTアグリテクノロジー」では、NTTグループのアセットを活用し、新たな可能性や価値を見出しながら、「一次産業の新しいカタチを創る」を合言葉に、大規模施設園芸や陸上養殖の分野において様々な取組みを事業化しています。

画像:スマート農業実現に向けたNTTの取組み

ICTによる環境制御を用いた大規模園芸施設の設計や施工(ハウスエンジニアリング事業)、自ら農業法人として機能する生産販売事業、六次産業化による産地形成・地域創生支援も行いフードバリューチェーン事業など、多岐にわたるビジネスを日本の農業をリードする様々なパートナーと進め、最終的には農業を起点にさまざまな関連産業を融合させた「農業エコシティ」の実現により、地域振興にトータルで寄与していくことをめざしています。

遠隔営農支援では、遠く離れた場所にいる指導者から、データに基づく的確な指導を、直接、そして高頻度で受けることができるため、経験等に捉われずに安心して農業に従事できます。

画像:スマート農業実現に向けたNTTの取組み

また担い手不足に対処するため遠隔から制御し圃場現場作業を支援するロボットの運用も開始しています。

画像:スマート農業実現に向けたNTTの取組み

データが蓄積されると、農産物の収量予測も可能となります。環境や生育データなど、蓄積された膨大なデータをもとにAIによる高度な予測結果を得ることができるため、ロスが少なく効率的な農業が実現されます。

さらには、圃場で働く人のマネジメントについても、スマホやタブレットから簡単に行うことができるサービスを提供し、最適な人員配置や労務管理につなげて生産性を上げることに成功しています。

画像:スマート農業実現に向けたNTTの取組み

このような取組みは、NTTグループが強みとする通信技術やAI、IoT等のノウハウをベースにしたものであり、実際に働く農業生産者の人々のリアルなニーズを反映したサービスとして好評をいだいています。

画像:スマート農業実現に向けたNTTの取組み

農業は、地域の経済、文化、コミュニティを醸成してきた大切な産業です。また、世界の情勢変化に伴い食の安定供給のリスクが高まっています。こうした中、NTTアグリテクノロジーは、社会的要請に応えるべく役割を果たしてまいります。

この取組みを行っているNTTの部署・研究所

株式会社NTTアグリテクノロジー
https://www.ntt-agritechnology.com/当該ページを別ウィンドウで開きます

NTTグループの「農業」への取組み
https://group.ntt/jp/magazine/blog/agriculture/当該ページを別ウィンドウで開きます

研究企画部門 食農プロデュース担当
問い合わせ先:ntt-agri@ntt.com