2023年11月14日(火)~17日(金)にわたって「NTT R&D FORUM 2023 - IOWN ACCELERATION」を開催します。講演や多数の展示などを通じてIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)やNTT版LLM「tsuzumi」等、NTTの研究開発について最新動向をご紹介します。NTT武蔵野研究開発センタのリアル会場はNTTグループ会社社員からの完全招待制、オンライン会場はどなたでも参加登録(無料)でご参加いただけます。
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「NTT R&D FORUM 2023 - IOWN ACCELERATION」では、今年3月にサービスを開始したIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)の具体的なサービス・システム、ユースケース、要素技術や、生成AIのNTT版AI技術を中心にご紹介。またNTTグループR&Dの最新成果について、NTTや社外の著名な方をお招きして開催される講演や約100の展示などを通じて分かりやすくお届けしてまいります。
「NTT R&D FORUM 2023 ― IOWN ACCELERATION」の中でも2023年は約100展示を紹介しており、4つのタイムライン、18のテーマで構成されています。
【タイムライン】
IOWN Pickup
IOWN Now
IOWN Evolution
IOWN Future
【6つの代表的なテーマ】
その中でも注目の展示を速報でお伝えいたします。
NTTが独自に開発した、軽量でありながら世界トップレベルの日本語処理性能を持つ大規模言語モデル(LLM)が「tsuzumi」です。
近年、ChatGPTを始めとするLLMに注目が集まっており、さまざまな業界で入力支援・音声認識・会話内容のテキスト化・自動応答などに活用されています。しかし現在のLLMは学習させるために大量の電力が必要となり、また非常に高速な計算を行うコンピュータを使用しなければならないなど、そのコスト削減が課題となっています。
「tsuzumi」はこうした課題を解決するべく開発されたLLMであり、通常のノートPCでも稼働できるほどモデルの軽量化に成功。また言語処理能力も高く、NTT研究所の40年以上におよぶ自然言語処理研究の蓄積と、世界トップレベルのAI研究力の粋が結集されています。
テキスト情報ばかりでなくグラフやアイコンなどの付随する資料を理解できる、ユーザの状況や要求を理解し最適な情報を供給するなど、さまざまな魅力を秘めた「tsuzumi」は、省電力・エコ化を意識し、サステナビリティに貢献。多くの社会課題の解決が期待されています。
・満を持してデビュー!大規模言語モデル(LLM)「tsuzumi」記者会見速報
https://group.ntt/jp/magazine/blog/tsuzumi/
大容量・低遅延・確定遅延の特徴を持つIOWNオールフォトニクス・ネットワーク(All-Photonics Network)を活用し、実際の建設現場の建設機械を遠隔地から違和感なく操作することが可能になります。
昨今の建設業界は人手不足、長時間労働、技術者の高齢化などが深刻化。また2024年度から時間外労働の上限規制が適用されることから、作業の効率化や雇用の多様化など働き方改革が求められており、建設機械の遠隔操作による課題解決に期待が高まっています。
この技術は、現場の映像や音声を低遅延で伝送することにより、遠隔地のオペレーターが現場の状況をより正確に把握することが可能となり、まるで現場で作業しているかのような操作性を実現。また都市部の狭いスペースでの精密な作業に適用できるなど、作業の効率化や安全性の向上にもつながります。
3K職場のイメージを払しょくし建設業界のビジネスメリットを訴求、就業人口の減少や高齢化などの社会課題解決に貢献します。
「聞きたい音」のみを届け「聞かれたくない音・聞きたくない音」を届けない究極のプライベート音空間を実現するのがPSZ(Personalized Sound Zone)技術です。
誰もが快適で活躍できる人間中心の豊かな社会を実現するためには、個々人が求める多種多様な音環境の実現も不可欠。さまざまな技術の融合によって実現される「音環境のパーソナル化」が求められています。
PSZは現実の音とサイバー音を融合させた新たな音空間を生成する「音響XR技術」に加え、周囲の騒音を耳を塞ぐことなく遮断する「能動騒音制御技術」、状況に応じて利用者が望む音のみを通過させる「所望音選別技術」を融合。これによって聞きたくない音を遮断し、聞きたい音がクリアに聞けるプライベート音空間が実現します。
この技術によって、舞台のリアルな音と耳元の効果音がクロスオーバーする新感覚の空間音響の創出や、オーケストラの演奏を楽しみながらイヤホンから流れる演奏の解説音声を聞くといった、新しいエンターテインメントの実現が可能になります。
展示では「マンモス救出大作戦!高精細ARゲーム」で複数人が同時体験ができます。
太陽光のエネルギーを利用して二酸化炭素(CO2)を変換、削減する技術のひとつが「人工光合成」です。
世界中で脱炭素の取組が加速するなか、NTTグループでもカーボンニュートラルに向け、IOWNや脱炭素に向けた研究開発を進めています。その一環として多くのCO2を減らすため、特に長時間の運用が可能な半導体光触媒と金属触媒材料を用いた人工光合成技術に取り組んでいます。
従来は水と太陽光エネルギーを用いて水素を発生させクリーンなエネルギーとしての利用を検討していたのに対し、現在は水と太陽光エネルギーで取り込んだCO2を変換し、CO2を削減するための研究が行われています。NTTの高品質な半導体光触媒に独自の保護層を用い、世界トップクラスの寿命を実現。気体のままのCO2を効率的に変換する構造を見出し、多くのCO2を変換させることに成功しました。
太陽光エネルギーを用いた大気中のCO2を減らす技術のひとつとして気候変動の抑制に寄与し、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
今回の「NTT R&D FORUM 2023 ― IOWN ACCELERATION」開催において、代表取締役社長 島田 明は、開催に先立ち行われたプレス向け講演で社会が抱える3つの課題である「労働力不足」「環境・エネルギー問題」「高齢化/医療費増大、Well-beingの追求」を軸に解説しました。
また、IOWNについての改めての解説と、2025年の大阪万博内でのNTTパビリオンで実際に体験できるIOWNの取組について紹介しました。
さらに、執行役員 研究企画部門長 木下 真吾から「LLM + × IOWN」と題し、tsuzumiの小さくて賢いという特徴の紹介に触れたLLMの誕生について、ネットワークからチップ内へと推移するIOWNの進展、小さな専門性を持ったLLMを複数作って連携させることの意義について述べたLLM-IOWNの相互作用、そして1948 年に発足した電気通信研究所(NTT研究所の前身)の初代所長である吉田五郎氏が掲げた「知の泉を汲んで研究し実用化により世に恵を具体的に提供しよう」という言葉を振り返り、研究・開発・社会実装に向けた意気込みを述べました。
2023年11月14日(火)~11月17日(金)の期間で開催する「NTT R&D FORUM 2023 ― IOWN ACCELERATION」にて「tsuzumi」をはじめ、今年3月にサービスを開始したIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)の具体的なサービス・システム、ユースケース、要素技術やNTTグループR&Dの最新成果について、講演や展示を通じて分かりやすくご紹介してまいります。
どなたも無料でご参加いただけます。(事前登録必要)
https://www.rd.ntt/forum/
NTT版大規模言語モデル「tsuzumi」
https://www.rd.ntt/research/LLM_tsuzumi.html
IOWN APNによる建設機械の遠隔操作
https://group.ntt/jp/newsrelease/2023/11/09/231109b.html
究極のプライベート音空間を実現するメディア処理技術
https://group.ntt/jp/newsrelease/2023/11/10/231110c.html
人工光合成技術
https://group.ntt/jp/newsrelease/2023/10/27/231027a.html
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