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2018年8月31日

ICTテクノロジーで育む"幻の米"
ササニシキ

出会いから生まれた新たな米づくり

東日本大震災の被災地でもある宮城県南三陸町。

この地でドコモは、復興に向け歩み続ける南三陸町を未来につなげるために環境共生型の米づくりを2012年からスタート。

宮城発祥のササニシキを地域の誇りとして復興させることをめざし、農薬、肥料不使用の米栽培に挑む専業農家 阿部博之さんとともに試行錯誤の連続の中、豊かな自然を大切にするまちづくりをサポートしているのがドコモのICT技術です。

ササニシキは、かつては東北を代表する品種。寒さの影響を受けやすく農薬や肥料を使う近代農法に適さないため、栽培は縮小の一途をたどり"幻の米"となっていました。この宮城の誇りであるササニシキに、阿部さんは自分自身の原点として強い思い入れがあったのです。しかし、農薬、肥料不使用の米作りは雑草との戦いで、草をどれだけ取り除けるかが収穫量に直結。1年目は豊作だったものの、その後の収穫は下降してしまいます。

完全自然栽培のカギ ICT X 深水農法

「もうあきらめようか」と阿部さんが思いはじめていたところ、「深水農法」と出会います。一般的に水位を4~5センチを保つ栽培とは異なり、従来よりも深い水位を保つ農法により、コナギなどの雑草が抑制されるこの農法で、田んぼの水位をドコモのICTセンサーで一定の深さで管理することで雑草の発生を抑えることに成功したのです。

除草剤を使わない農薬、肥料不使用の米作りにとって、とても重要なことは「水」を最大限に活かすこと。稲作文化が、遥か古代より絶えることなく現代まで受け継がれてきたのは、水の力を最大限に利用してきたからとも言えます。この「水」をいかに活かすかが、農薬、肥料不使用の米作りにとっては欠かせない要素となると言っても過言ではありません。

米作りに欠かせない水の管理。

田んぼの水位や温度の情報を見える化するドコモの水田センサーは、水位・水温・気温など計測し変化をグラフで表示。スマートフォンやタブレットでいつでもどこでも田んぼの状態を確認することができるようになり、 その情報を元にして天気や生育状況に応じた最適な水位など、徹底した管理をすることができました。

画像:ドコモのICTセンサーで管理された水田にトラクターを走らせる阿部さんの写真。 ひと苗ひと苗しっかりと泥の中へ  ドコモの水田センサーで水位・水温・気温を見守ります

  • 画像:深水農法の成功に笑顔が溢れる阿部さんの写真。 おいしいお米ができますように
    自然と笑顔がこぼれます。

  • 画像:直立に成長するササニシキの力強い苗の写真。ここまで成長してやっと田植えすることができます。 約20センチほどに育ったササニシキの苗
    いよいよ圃場へ

「深水農法を導入する前は、天候不順やいもち病の発生もあり、苦労を重ねても収穫できないという結果に打ちのめされ、心が折れかけていました。深水農法がひとつの明るい道筋を示してくれたと思います。」と語る阿部さん。

田んぼがつくり出す豊かな自然。

おいしいお米をつくるために、美しく豊かな自然を守りながら、ドコモのICTが最適な水位と育成の管理を支えているのです。

人と技術が交わる新たな未来づくり

「これからの農業は環境保全と食の安全、生産性の両者を両立させなければ持続性は保てません。少量生産でも特色を生かした生産物が様々な課題解決になり、地方創生につながるはず」と、ドコモ東北復興新生支援室の担当者は話します。

日本の代表的な一次産業である米作りを通じ、価値の高い農産物で農家を元気にする。これは中山間の課題であるコミュニティーの再生と活性化に繋がり日本の地方創生に貢献できると考えられます。

水田センサーと通信ネットワークを通じて届けられる栽培環境データは、これまで農家の勘や経験に頼ってきた技術をドコモのICTによって可視化することで収穫量と品質の安定化につなげ、新たな可能性が拡がっていきます。

  • 画像:ドコモの水田センサーと背景に広がる三陸町の田園風景の写真。 水位・水温・気温を計測 ドコモの水田センサー

  • 画像:トラクターで田植えを行う阿部さんの後ろ姿の写真。 気持ちも新たに行った深水農法2年目の田植え

「ここはもう自分たちだけの田んぼではないんです。多くの人たちの想いが詰まった田んぼ。みんなに喜んでもらえる結果を残すまではやり続けます」と語る阿部さん。

宮城発祥のお米として多く人たちに愛されるササニシキを南三陸で復活させ、「食」を通じて南三陸町の元気な姿を発信していくなどドコモは、挑戦する人たちの熱い想いに寄り添いながら、未来に向けた活動を続けていきます。