2025年5月30日
日本電信電話株式会社
国立大学法人北海道大学
日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:島田 明、以下「NTT」)と国立大学法人北海道大学(北海道札幌市、総長:寳金 清博、以下「北海道大学」)は、2025年日本国際博覧会(以下「万博」)における、「食と暮らしの未来ウィーク」(期間中の6月8日(日)~6月15日(日))にて、スマート農業技術展示として、リモート農業技術を実演展示します。
NTTと北海道大学は、約1,200km離れた万博会場と北海道大学間を、NTTグループが提供する、低遅延・大容量通信を可能とする次世代ネットワークIOWN APN(アイオン オールフォトニクス・ネットワーク)※1で繋ぎ、北海道大学農場にあるロボットトラクタを万博会場にて距離を感じずに遠隔監視・操縦することを実現します。
ロボットトラクタは自動的に作業することができますが、走行途中に障害物がある時や、ロボットトラクタの位置情報となるGNSSの受信不良などで作業が継続できないと大変困ります。そのような時に農場で走行するロボットトラクタ前方のカメラ映像をリアルタイムにロボットトラクタを管理する拠点へ送ることで、管理者はその映像を見ながら遠隔操縦したり作業を継続したりすることが可能となります。
距離を感じない遠隔監視・操縦を実現するため、展示には2つの技術を活用しています。
一つは、モニターに映る映像からは距離感が分かりにくくなる課題を解決する技術です。北海道大学が研究開発した、距離を示すゲージ、目標となるガイドラインを表示する技術を活用し、遠隔からの距離感把握を実現しています。この技術により、ロボットトラクタを運転したことのない人でも安心して操縦することができます。操作にはゲーム用コントローラを使用しているので子供達にも馴染みやすく違和感なく本物のトラクタを運転することができます。
もう一つの技術は、大容量な映像を長距離伝送する際に生じる遅延により、伝送映像を見ながらの遠隔操縦が難しくなってしまう課題を解決する技術です。NTTグループがこれまで培ってきた経験と技術力で通信サービスをさらに進化させた、低消費電力・大容量高品質・低遅延を特徴とする次世代ネットワークIOWN APNで遠隔操縦システムとロボットトラクタをつなぐことで、遅延を感じることなく遠く離れたところにあるロボットトラクタを操縦することができます。
またロボット農機の試行錯誤による運用を避けるためデジタルツインによるバーチャルファームの構築も行っています。この中でシミュレーションを行い安全に適切な作業ができるか事前に確認します。このような仮想世界であるバーチャルファームと実際の農業現場との複合現実を用いた操縦体験も行えます。
図1. 2025年日本国際博覧会でのリモート農業技術実演展示イメージ
我が国ではロボット農機が世界に先立ち2018年から社会実装したところです。しかし現状では1人が1台のロボット農機を監視する技術レベルです。1人で複数のロボット農機を同時運用できるリモート農業は大幅な省力化・省人化に必要不可欠な技術です。このような背景から北海道大学はNTTとともに次世代通信技術を用いたロボット農機の遠隔監視・操縦について研究開発を進めています※2。その要素技術の1つである遠隔操縦技術は実作業現場に導入する上で必要不可欠です。さらにトラクタを運転するどころか見たこともないような方々、こどもたちに食糧生産に関わる貴重な体験をしてもらい、未来の農業を体感してもらいます。
大阪・関西万博会場への入場には別途チケットの購入が必要となります。入場チケットについては下記万博公式サイトをご確認ください。
体験は展示会場現地での整理券配布による予約制で実施する予定です。
※1IOWN APN(オールフォトニクス・ネットワーク)
IOWNは、ネットワークだけでなく端末処理まで光化する「オールフォトニクス・ネットワーク(APN)」、サイバー空間上でモノやヒト同士の高度かつリアルタイムなインタラクションを可能とする「デジタル・ツイン・コンピューティング」、それらを含む様々なICTリソースを効率的に配備する「コグニティブ・ファウンデーション」の3つで構成されます。
APNは、ネットワークから端末、チップの中にまで新たな光技術を導入することにより、これまで実現が困難であった超低消費電力化、超高速処理を達成します。1本の光ファイバ上で機能ごとに波長を割り当てて運用することで、インターネットに代表される情報通信の機能や、センシングの機能など、社会基盤を支える複数の機能を互いに干渉することなく提供することができます。
https://www.rd.ntt/iown/
※2北海道大学とNTTは未来の一次産業の実現に向けて、農業のデジタルツイン等の共同研究に取り組んでいます。詳しくは以下ホームページをご覧ください。
https://group.ntt/jp/newsrelease/2025/04/07/250407a.html
本件に関するお問い合わせ先
北海道大学大学院農学研究院
准教授 石井 一暢(いしいかずのぶ)
TEL 011-706-3626 FAX 011-706-3626 メール ici@agr.hokudai.ac.jp
日本電信電話株式会社
広報部門
メール ntt-pr@ntt.com
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