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本誌に記載されている予想数値および将来の見通しは、不確定性・不確実性を含んでおり、実際の業績などにつきましては、今後の経済や情報通信業界内外の動向、新たな技術・サービスや料金水準などにより変動することがあります。従って、当社として、その確実性を保証するものではありません。

トップメッセージ

平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。ここに「株主通信 NTT is(2023年12月号)」をお届けするにあたり、謹んでご挨拶申し上げます。
 先般、当社グループ会社にて発生いたしましたお客さま情報の不正流出に関しまして、株主さまの皆さま、お客さまをはじめ、関係するすべての方々へご迷惑、ご心配をおかけしたことを、深くお詫び申し上げます。NTTグループでは、今後更なる対策強化を行い、再発防止に努めてまいります。

2023年度上半期の業績と通期業績予想

2023年度上半期決算は、営業収益は対前年同期+784億円(+1.2%)の6兆3,646億円と過去最高を更新しました。営業利益は対前年同期▲456億円(▲4.6%)の9,509億円、当期利益は対前年同期▲258億円(▲3.7%)の6,708億円となりました。
 2023年度通期予想については、営業収益13兆600億円・営業利益1兆9,500億円・当期利益1兆2,550億円を見込んでおります。上半期では営業利益・当期利益とも対前年減益となりましたが、概ね想定どおりの進捗であり、下期の増益でカバーすることにより年間計画達成とともに、EPS目標についても達成に向けて引き続き取り組んでまいります。

本年5月に新たな中期経営戦略を公表しました。その基本的な考え方は、「NTTは挑戦し続けます。新たな価値創造と地球のサステナビリティのために」であります。この取り組みを推進し、株主の皆さまの期待に応えられますよう尽力してまいります。

株主還元

株主還元については、継続的な増配の実施を基本的な考え方とし、自己株式取得についても機動的に実施することで資本効率の向上を図っております。
 長期保有の株主の皆さまの資産形成にあたっても、魅力のある株式として引き続き選んでいただけるよう、今後も企業価値を高めるとともに株主還元の充実を図ってまいります。

配当

2023年度の年間配当額は、13期連続での増配となる1株当たり5.0円(対前年度+0.2円)を予定しております。これまでの配当額は、2003年度比でみれば10倍まで拡大しております。

配当の推移

  1. 2009年1月4日を効力発生日として、普通株式1株につき100株、2015年7月1日を効力発生日として、普通株式1株につき2株、2020年1月1日を効力発生日として、普通株式1株につき2株、2023年7月1日を効力発生日として、普通株式1株につき25株の割合をもって株式分割を行っており、1株当たり配当額について、当該株式分割調整後の数値を記載しています。

自己株式取得

2023年3月までの自己株式取得の総額は約5.3兆円となり、これまでに取得した株式の総数は、発行済株式の約48%に達しました。
 また、2023年8月には2,000億円を上限とした自己株式取得を決議し、2023年11月末までに1,329億円を取得しました。引き続き、2024年3月末までの取得を進めてまいります。

自己株式取得

株主総利回り(TSR)

配当と株価変動を加味した当社の過去10年間の株主総利回り(TSR)は464%となり、配当込みTOPIXを上回るパフォーマンスとなっております。

株主総利回り(TSR)

NTT独自の大規模言語モデル「tsuzumi」

近年、大規模言語モデル(LLM※1)に大きな注目が集まっていますが、ChatGPTに代表される多くのモデルは、膨大な知識をモデル内に有することで高い性能を示す一方、大規模化に伴い学習時の電力や利用時のコストが膨大となるというサステナビリティおよび経済的負担面での課題があります。
 こうした課題を踏まえ、NTTでは、研究所が保有する40年以上に及ぶ自然言語処理研究の蓄積、世界トップレベルの AI 分野の研究力を活かし、軽量でありながら世界トップレベルの日本語処理性能を持つ大規模言語モデル「tsuzumi※2」の開発に成功しました。2024年3月より、商用サービスを開始します。

tsuzumi の特長

  • 1. 軽量なLLM

    軽量なLLM

  • 2. 日本語と英語に対応

    日本語と英語に対応

  • 3. 柔軟なチューニング

    柔軟なチューニング

  • 4. 日本初マルチモーダル※3
    ~図表読解等様々な形式に対応~

    日本初マルチモーダル~図表読解等様々な形式に対応~

※1LLM: 大規模言語モデル(Large Language Models):大量のテキストデータを使って学習された言語モデルで、言語の理解や文章の生成に優れた能力をもつもの。

※2「tsuzumi」は商標出願中です。日本語の処理性能を重視し、産業の発展を牽引する言語モデル技術への期待を、雅楽の合奏の開始の切っ掛けを担う鼓に寄せました。

※2マルチモーダル: AI への入力情報の種類(テキスト、画像、音声など)をモーダルと言い、これらの異なる入力情報を組み合わせて使う能力をもった人工知能の特性を指す。

tsuzumi が志向する方向性と今後の展開

まずは業界に固有なデータを柔軟・セキュアに学習することが可能となる点を生かし、業界に特化した領域にフォーカスしていきます。全ての知識を集約した 1つの巨大な LLM が存在するのではなく、専門性や個性をもった小さなLLM の集合知が多種多様なAI群と連携してリアルワールドの社会課題を解決する世界をめざします。

こうした大量のLLMの連携基盤にはローカル環境と遜色のない安全かつ低遅延環境が必要になります。NTTではIOWN APN(All Photonics Network)を利用した環境を構築しており、約100km離れたデータセンタ間でGPU とストレージを接続し、安全かつ性能低下の非常に少ないLLM 学習環境を実現しています。

今後も、NTTでは長年の言語処理研究の蓄積を活かした技術の実用化を推進するとともに、さらなるLLMの研究開発領域として、サイバーセキュリティ分野への応用、自律的に連携し議論するAIコンステレーション等の研究開発にも取り組みます。
 新たな価値創造、お客さま体験の高度化に向けた取り組みをより一層加速してまいります!

column

Sakana AI株式会社と新しいAIモデルの研究開発に関する連携協定を締結(2023年11月)

サステナブル社会の実現に向けて、NTTとSakana AI株式会社(以下、 Sakana AI)は、自律的な新しいAIモデルの研究開発に関して協力することを定める連携協定を締結しました。Sakana AIは、Google Brainの日本部門統括として、複雑系、自律システムの研究を指揮してきたDavid Ha氏と、現在の生成AIの爆発的な普及につながった「トランスフォーマー」モデルの提案論文である「Attention Is All You Need」の著者の1人であるLlion Joens氏が、2023年に東京で立ち上げたAI企業です。

複数の小型AIを分散的に配置し、それらAI同士を効率的に連携させることで、単一のAIモデルの省電力化を推進することに加えて、アーキテクチャ 構造自体からの省電力にも取り組みます。さらに、AI同士が相互に自律的に協調しあうような、より機能的でかつ効率的なAIモデル・アーキテクチャの実現もめざし、新たな集合知の創出も推進します。

  • NTT 版大規模言語モデル「tsuzumi」の解説情報はこちら

IOWNによる新たな価値創造(「光電融合技術」デバイス製造 新会社)

代表取締役社長 塚野 英博

新中期経営戦略「IOWNによる新たな価値創造(構想から実現へ)」の一環として、電力負荷問題への問題提起とそれにつながる解決策「光電融合技術」デバイスの製品開発並びに市場投入と事業拡大を掲げ、2023年6月にNTTイノベーティブデバイス株式会社(以下NTTイノベーティブデバイス)を設立しました。
 NTTイノベーティブデバイスは「Beyond Moore(ビヨンド ムーア)」をめざし、光電誘導技術の導入に取り組んでいます。

NTT Innovative Devices

<ムーアの法則とは?>

アメリカの半導体最大手インテル社の共同創業者の1人であるゴードン・ムーア氏が1965年に発表した半導体技術の進歩に関する経験則で、半導体の集積度は18~24ヶ月で2倍になるという法則です。

50年以上集積度の向上を続けてきた結果、ムーアの法則には限界が訪れているという指摘もあります。そこで、NTTイノベーティブデバイスは、ムーアの法則を超えるキー・テクノロジーとして、光電融合技術を搭載したデバイスの市場投入と事業拡大の加速をミッションとした取り組みを開始しました。

光電融合技術の導入(光導波路・光調芯)

光電融合技術の導入(光導波路・光調芯)

NTTイノベーティブデバイスは、光電融合技術を活用し、これまで電気で行っていた計算を、光を用いた処理に置き換えるべく事業を進めます。光は電気に比べてエネルギー消費が小さく、遅延も起きにくいというメリットがあるからです。

光電融合デバイスの適用領域は、従来の通信領域からコンピューティング領域、そして車やPC、スマートフォン等のコンシューマ領域へと拡大させていくことをめざしています。

めざす光電融合デバイスのアプリケーション(イメージ)

めざす光電融合デバイスのアプリケーション(イメージ)

適用領域が広がると共に適用台数も数万~億に拡大し、社会全体の消費電力増大の解決やカーボンニュートラルの実現に貢献することができます。
 今後のNTTイノベーティブデバイスの事業展開にご期待ください!

マネックスグループ・マネックス証券との資本業務提携

2023年10月4日(水)、株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)は、マネックスグループ株式会社(以下、マネックスグループ)およびマネックスグループの子会社であるマネックス証券株式会社(以下、マネックス証券)と、お客さまの資産形成サービスを中心とした新たな金融サービスモデルの構築をめざした資本業務提携契約を締結いたしました。

ドコモは「あなたと世界を変えていく」というブランドスローガンのもと、さまざまな事業領域での挑戦を続けています。スマートライフ事業では金融・決済領域を事業の柱として取り組みを拡大し、「dカード」や「d払い」などの決済分野を中心に投資・融資・保険等のサービスも併せて、お客さま一人ひとりのマネーライフをサポートしており、今回のマネックスグループおよびマネックス証券との提携により投資分野に本格参入し、お客さまに最も選ばれる次世代の画期的な資産形成サービスの提供、投資による個人の資産形成が大きく前進するような社会的インパクトの創出、お客さまのさらなる"ウェルビーイング"の向上をめざします。

具体的な今後の取り組み

具体的な今後の取り組み

はじめての方にも手軽で簡単な資産形成サービスの提供

「d払い」をはじめとするドコモの各種サービス(「dポイント」・「dカード」・「dアカウント」等)とマネックス証券サービスを連携し、お客さまに寄り添った情報や商品を継続的に提供することで、着実な資産形成をサポートいたします。また取引等に応じた「dポイント」の還元や「d払い」・「dカード」による入出金や積立が可能になることで、より多くのお客さまが手軽に資産形成をいただける環境を提供します。

両社のデータを活用した一人ひとりへの最適な商品の提案

ドコモが保有している9,700万(※1)の会員データとマネックス証券のデータを、お客さまから同意いただいた範囲で掛け合わせ、お客さまのニーズを可視化し、一人ひとりに適した商品の提案を可能にします。

ドコモショップなどを通じた投資情報・金融教育コンテンツの提供

ドコモのオウンドメディアやドコモショップでのセミナーを通じて、 投資がはじめての方からなじみのある方まで、幅広いお客さまの投資知識・金融リテラシーの向上を後押しします。

AIによるお客さまサポート

AIを活用し、お客さまそれぞれの投資に関するお悩みの解決に向けたサポートを実施します。

次世代金融商品の取り扱い

社会の流れとともに変容するさまざまなお客さまニーズに対応した、先進的な金融商品の開発・販売を実施します。

マネックスグループとのパートナーシップにより、ドコモ自らが証券業に参入することで、安心して多くのお客様に使っていただける資産形成サービスを提供すること、それを通じて政府が掲げる「貯蓄から投資へ」を加速させ、個人が抱える将来に対する漠然とした不安を払しょくし、社会課題の解決に貢献します。

※12023年9月末現在のdポイントクラブ会員数

Event Report IR DAY 2023の開催

2023年10月3日(火)に、今年で10回目となる機関投資家さま向け説明会「NTT IR DAY 2023」を開催しました。
 当日は①データセンターの成長戦略、②NTTグループのスマートエネルギー事業、③総合Q&Aの3つのセッションを行いました。

セッション① データセンターの成長戦略

  • Senior Vice President,
    Head of Global Business, NTT
    勝山 健

  • CEO & President, NTT Global Data Centers and Submarine Cable,
    NTT Ltd.
    Doug Adams

  • Senior Vice President and Global Investment Officer, NTT Global Data Centers, NTT Ltd.
    Will Innes

データセンター事業をリードしているメンバー3名から、市場動向や当社の競争優位性と差別化、財務状況についてご説明いたしました。

データセンターの市場規模は2020年の508億ドルでしたが、2028年には1,368億ドルに達すると見込まれ、生成AIの需要を踏まえるとさらに加速すると想定されています。

そんな市場動向の中、当社は技術的に高度で高品質なデータセンターの構築・運用実績があるプレミアム・ソリューションを提供し、お客様から高い信頼を獲得しています。

NTTグローバルデータセンターが選ばれる理由

NTTグローバルデータセンターが選ばれる理由

また、データセンター拡張への継続的な投資により、市場を上回る成長を実現しています。

NTTグローバルデータセンターの財務状況

NTTグローバルデータセンターの財務状況

  • セッション①データセンターの成長戦略 プレゼンテーション資料全編はこちら
  • セッション①データセンターの成長戦略 QA動画はこちら

セッション② NTTグループのスマートエネルギー事業

  • NTTアノードエナジー株式会社
    代表取締役社長
    岸本 照之

  • 株式会社グリーンパワーインベストメント
    取締役副社長 事業開発部門長
    幸村 展人

循環型社会の実現に向けた当社グループのエネルギー事業における取組み、株式会社グリーンパワーインベストメント(以下、GPI)との更なる成長に向けた協働についてご説明をいたしました。

当社グループでは、環境エネルギービジョンNTT Green Innovation toward 2040を策定し、2030年度には当社グループの温室効果ガス排出量80%削減 (2013年度比)、 2040年度には当社グループのカーボンニュートラルを達成すべく、取り組んでいます。

再生可能エネルギーの導入については、開発中の案件を含め、2023年6月時点で26.9億kWhを保有しており、2023年8月には、GPIの株式取得により2030年度目標の達成が視野に入ってきました。

再生可能エネルギーの獲得状況

再生可能エネルギーの獲得状況

GPIの強み

GPIは、"量"の観点では、国内最大規模の風力発電所「ウィンドファームつがる」(総出力 121,600kW)(右図)をはじめ、国内風力の規模上位となる発電所を複数手掛けており、"質"の観点でも、長年の知見、経験に裏打ちされた高い事業成立確度、事業収益性を誇ります。

再生可能エネルギーの普及拡大に向けて

太陽光や風力などの再生可能エネルギーは、温室効果ガスを排出しない反面、気象条件に発電量が左右されるなど、不安定な電源です。
 NTTアノードエナジーはこの課題を克服するため、エネルギー流通プラットフォームを構築、活用をしていきます。
 このプラットフォームでは、太陽光、風力、地熱、バイオマスなど多様なエネルギーを集約(アグリゲート)したうえで、蓄電池を用いたエネルギーマネジメントシステムを稼働させ、再生可能エネルギーを調整し、普及拡大に向けて取り組みます。

今後も、NTTアノードエナジーは社会のカーボンニュートラルの実現に貢献していきます。

  • セッション②NTTグループのスマートエネルギー事業 プレゼンテーション資料全編はこちら
  • セッション②NTTグループのスマートエネルギー事業 QA動画はこちら

セッション③ 総合Q&A

社長の島田が、今後の経営方針や収益性、事業についてなど、機関投資家の皆さまからの質問に直接お答えしました。

株式分割を契機とした株主数の拡大

2024年からの新しいNISA制度導入も踏まえ、投資単位を米国優良銘柄並みの水準まで大きく引き下げることにより、より投資しやすい環境を整えようと、 2023年7月1日付で1株を25株に株式分割いたしました。株式分割を契機に、 NTTグループの持続的な成長に共感いただき、より多くの幅広い世代の投資家のみなさまに当社へ投資いただければと考えています。

上記グラフの右側が9月末の株主数です。従来微増傾向だった株主数が1.5倍超と大幅な増加となり、国内最大級の株主数となりました。

証券会社へのヒアリングに基づく推計ではございますが、40代以下の層の割合が2020年12月と比較して約4倍となるなど、年齢構成も多様化しています(右グラフ参照)。

当社が期待していた通り、株式分割を契機に、個人株主の皆さま中心に、「まずは100株」とNTT株式へ投資いただいた方が多いのではと推察しております。当社としては、そこからさらに、もう100株、200株と買い増していただけるように、当社株式の成長性を感じていただける情報を、webやSNSを活用しながら発信してまいります。

これまで長らく当社株式を保有いただいている方々はもちろん、新たに当社株主さまとなられた方々やこれから当社へ投資いただく投資家の皆さまからの期待にも応えられるよう、2023年度通期計画および新中期経営戦略(財務目標含む)達成に向けて取り組んでまいります!

連結業績概況と業績予想/セグメント別の状況

連結業績概況と業績予想

連結業績概況と業績予想 連結業績概況と業績予想

セグメント別の状況

セグメント別の状況

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