検索パネルを開く 検索パネルを閉じる メニューを開く メニューを閉じる

2024年3月19日

GXに取り組むソリューションブランド「NTT G×Inno」。各ソリューションを詳しく解読

日本の電力のおよそ1%を消費しているともいわれるNTTグループ。その社会的責任を果たすとともに、グローバルな社会インフラ事業者としての役目を果たし、2050年カーボンニュートラルに向けた取組みを加速させるために、GX※1ソリューションブランド「NTT G×Inno(エヌティティ ジーノ)」を立ち上げました。
 今回は、NTTグループ各社から提供される2つのソリューションを取り上げ、背景や課題をおさえながら、具体的な内容について詳しく解説します。

※1Green Transformation。カーボンニュートラルや温室効果ガス排出削減目標の達成に向けた活動を経済成長の機会と捉え、社会のカーボンニュートラルと経済成長の両立をめざして、経済社会システム全体を変革していく取組みのこと

<全3回の第3回/第1回第2回へ>

1) 再生可能エネルギーの導入拡大と有効活用

画像:1) 再生可能エネルギーの導入拡大と有効活用

カーボンニュートラルの実現には、温室効果ガス排出量の多くを占めるエネルギー分野の取組みが重要になります。なかでも、導入の拡大が期待されるのが、太陽光や風力を使った再生可能エネルギー。自然由来の資源を利用するため、枯渇せずに利用することができ、また発電時に温室効果ガスを排出しないことから、環境にやさしいエネルギー源として注目されています。
 再生可能エネルギーが主力電源となるには、長期的に安定した電源にならなければなりません。しかしながら、再生可能エネルギーは季節や天候によって発電量が変動するため、電力需要に対して供給量が満たないときには、出力の増減が容易な火力発電などを組み合わせて、需給のバランスを柔軟にコントロールする「調整力」が不可欠ですが、再生可能エネルギーの増加に伴い、電力系統の安定化のために、「調整力」としての火力発電を代替可能な蓄電池などを増やす必要があります。
 その中で、再生可能エネルギー発電設備への併設や系統に直接接続する蓄電池、および家庭用の燃料電池や蓄電池、電気自動車(EV)といった、エネルギーリソースを「調整力」として活用し、電力の需要と供給を最適化する「アグリゲーション」という取組みが注目されています。

■アグリゲーション事業の推進に向けたエネルギー流通プラットフォーム

再生可能エネルギーによる電力供給の安定化に貢献するため、NTTアノードエナジーは「再エネアグリゲーション」「調整力アグリゲーション」「需要アグリゲーション」の3つを軸にアグリゲーション事業を推進します。

(1) 再エネアグリゲーション

FIT制度(固定価格買取制度)の買取り期間終了後を見据え、再生可能エネルギー発電事業者に対して高精度な発電量予測を提供。さらには、複数の発電所の再生可能エネルギーを束ねることで、発電量の予測誤差を低減し、発電事業者側の調整コストの削減と出力の安定化をサポートします。発電した電気は、NTTアノードエナジーが「アグリゲーションコーディネーター」として購入し、収益の安定化にも貢献します。

(2) 調整力アグリゲーション

大型の系統用蓄電池を保有する事業者を対象に、系統用蓄電池の統合・集約制御サービスを提供します。具体的には、自社の系統用蓄電池の運用をもとに構築するエネルギー流通プラットフォーム内のデータ分析基盤を通じて電力の不足・余剰や市場の価格動向を予測し、蓄電池をいつ・どのタイミングで・どれくらいの量の電気を充電・放電すればよいか、最適な充放電計画の作成と運用をサポートします。

(3) 需要アグリゲーション

再生エネルギーの活用と安定供給を下支えする調整力として、今後、普及が見込まれる電気自動車(EV)や家庭用の蓄電池などの低圧リソースを束ねて、電力消費者の電気料金削減、小売電気事業者のコスト削減や電力の需給バランス調整に活用するサービスを提供します。

(4) エネルギー流通プラットフォーム

上記のアグリゲーション事業を円滑に推進するために、エネルギーリソースの発電量予測、最適な制御などを担う基盤として、NTTグループの最新のICT技術を活用したエネルギー流通プラットフォームの構築を進めます。

2) サプライチェーン全体のカーボンニュートラル実現

150を超える国と地域が「2050年カーボンニュートラル」という目標を掲げるなか、日本でも2050年カーボンニュートラル化および2030年度温室効果ガス排出量46%削減の目標が掲げられています。NTTグループにおいては、2040年度までに自社での温室効果ガスの排出量であるScope1・2※3に加えて、サプライチェーン全体の温室効果ガスの排出量であるScope3※3まで含めたカーボンニュートラルの実現をめざしています。

※3温室効果ガスの排出量を算定・報告するために定められた「GHGプロトコル」の基準

Scope3は、自社の事業活動にかかわる他事業者や使用者による間接的な排出量のことで、原材料の調達や販売、消費、廃棄において排出される温室効果ガスを指します。事業者自らによる温室効果ガスの直接排出量であるScope1、他社から供給された電力や熱、蒸気の使用に伴う間接排出であるScope2を含む、サプライチェーン全体の排出量を合計した排出量を「サプライチェーン排出量」と呼びます。

Scope3における排出は自社以外の排出にあたるため、正確な算定や削減対策を講じることは困難です。Scope3の算定には「排出原単位データベース」※4の値を用いるのが一般的ですが、日本全体の平均値であるため、各企業に個別の活動結果を反映しづらく、活動量を減らさない限り排出量を削減できないという課題があります。

※4環境省『排出原単位データベース』
URL https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/estimate.html

■温室効果ガス排出量可視化プラットフォームの特長

NTTデータは国内で初めて「総排出量分配方式」に対応した温室効果ガス排出量を可視化するプラットフォーム「C-Turtle®」を開発し、現在は業種、規模問わず500社以上の企業へ提供しています。「総排出量分配方式」とは、「何を買ったか」ではなく、「誰から買ったか」で算定する方式で、温室効果ガス排出量の算定・報告する際に用いられる国際的なガイドライン「GHGプロトコル」にも準拠しています。

CDPデータ等を元にした一次データを算定に活用できるため、サプライヤーの削減努力を自社の排出量へ取り込めるとともに、環境負荷の少ないサプライヤーへの調達切替えを実施することで、サプライヤーにも脱炭素化の取組みを促すことができます。

NTTデータは、NTTグループ各社における排出量可視化の取組みを通じてノウハウの収集と「C-Turtle®」の機能向上に取組み、サプライチェーン全体の排出量可視化・温室効果ガスの削減を牽引し、ひいては社会全体のカーボンニュートラル達成に貢献していきます。

3) 今後のソリューション展開に向けて

画像:3) 今後のソリューション展開に向けて

NTTグループが保有する最先端の技術やアセットを活用し、グローバル企業からスタートアップ、さらには産官学連携を含む幅広いパートナーのみなさまとともに、コンサルティングから行動変容まで幅広い分野のソリューションを、グループ各社から提供していきます。

■アグリゲーション事業の推進に向けたエネルギー流通プラットフォーム

現在、①東芝エネルギーシステムズ株式会社との再生可能エネルギーアグリゲーション実証、②九州電力株式会社、三菱商事株式会社との系統用蓄電池による太陽光発電の出力制御低減に向けた実証、および③株式会社Shizen ConnectとのEV充放電コントロールによるビルの電気料金削減とレジリエンス向上の実証、に取組んでいます。アグリゲーション事業を通じて獲得した知見・ノウハウをエネルギー流通プラットフォームの予測エンジン、最適化エンジンに反映・高度化を図るとともに、今後、これらリソースを活用した再生可能エネルギー中心とした電力供給モデルの実現に向けて取り組んでいきます。

■温室効果ガス排出量可視化プラットフォーム

脱炭素化の実現に向けて企業全体の排出量可視化に多くの企業が取り組み始めていますが、可視化にあたってはScope1・2だけでなく、Scope3の算定も求められています。排出量は算定をして終わりではなく、削減へ向かうことが重要です。特にScope3の削減は自社のみでは難しく、サプライヤーと共に推進していくことが必要です。C-Turtleでは各社の削減努力を繋げながら、サプライヤーエンゲージメントによる可視化、削減の推進を行い、今より多くの企業において排出量可視化、削減の取り組みへの支援へとつなげていきます。

4) 関連情報

【会見情報】GX分野の取組み強化に向けた新たなソリューションブランド 「NTT G×Inno」を立ち上げ
https://group.ntt/jp/magazine/blog/nttgxinno/

NTTが取り組むGXとは? ソリューションブランド「NTT G×Inno」についても解説
https://group.ntt/jp/magazine/blog/nttgxinno_vol2/

NTTGxInno
https://group.ntt/jp/group/nttgxinno/

<全3回の第1回はこちら 第2回はこちら