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人と社会のコミュニケーション

研究開発の強化・グローバル化

関連するGRIスタンダード:103-2/203-1,2

関連するSDGs

  • 産業と技術革新の基盤をつくろう

    目標9:
    産業と技術革新の基盤を
    つくろう

  • パートナーシップで目標を達成しよう

    目標17:
    パートナーシップで目標を
    達成しよう

方針・考え方

世界を先導するICT企業であるNTTグループにおいて、研究開発(R&D)はグループ企業の競争力の源泉たる重要課題(マテリアリティ)だと認識しています。中期経営計画の柱である「研究開発の強化」に基づき、新しい技術の研究開発に取り組み、多様な領域で新たな価値を創造することで、NTTグループの各事業会社と共に、お客さまのデジタルトランスフォーメーションや、一人ひとりに応じたライフスタイルの変革を支援していく役割を担っています。

NTTグループでは、R&Dを通じて生産性の向上、安全・防災などさまざまな問題を克服し、その結果として産業競争力の強化、社会的課題の解決をめざしています。ICTはさまざまな分野で活用されるため、NTTグループだけではなく、多分野にわたる産業界の方々とパートナリングを行いつつ、R&Dに取り組んでいます。

推進体制

グループ全体の研究体制(2020年3月末時点)
人数 約5,000人
開発費 2,200億円/年

NTTグループの研究開発は、NTTが有する3つの総合研究所(「サービスイノベーション総合研究所」「情報ネットワーク総合研究所」「先端技術総合研究所」)において行う、サービスやネットワークに関する基礎・要素技術などの電気通信分野の基盤となる技術に関する基盤的研究開発、グループ会社における各社の事業に密着した応用的研究開発がベースとなっています。

また、マーケティングやビジネスプランの策定、アライアンス形成などを行い、NTT研究所で開発した成果を早期にグループのビジネス展開につなげる「総合プロデュース活動」を進めています。この「総合プロデュース活動」では、NTTの研究開発が持つ幅広い基盤技術を社外の技術と組み合わせながらタイムリーな形で事業化していくため、グループ各社はもちろん多彩な企業とのコラボレーションから新たなサービスを創造しています。

将来にわたってイノベーションがNTTグループの重要な成長ドライバーであり続けるために、多くの特許出願や対外論文の発表を行うなど、社会的課題を解決するイノベーションを推進することで持続可能な社会の実現に貢献することをめざします。

研究開発の強化・グローバル化

世界に変革をもたらす革新的研究開発を推進するとともに、海外拠点での基礎研究を強化しています。具体的には、海外に設立した研究拠点を足がかりに、さまざまな研究機関との共同研究の強化、社外の最新技術の積極的な活用を行うとともに、新たな成長領域への研究投資の拡大を図ります。また、研究開発成果のグローバル展開や研究ターゲットのグローバル化を推進します。

また、基礎研究の強化を目的に、2019年7月、3つの研究所を擁するNTT Research, Inc. を米国シリコンバレーに開設しました。量子計算科学、医療・健康・ヘルスケア、基礎暗号・ブロックチェーンの各分野において、米国や欧州の大学・研究機関などと共同研究を開始しています。シリコンバレーをはじめとして、今後は、世界各地に拠点を展開し、更なる研究開発のグローバル化を進めていきます。

主な取り組み

B2B2Xモデル推進に向けた研究開発

スマート社会の実現に向け、NTTグループが貢献する取り組みの大きな柱が、B2B2Xモデルの推進です。B2B2Xモデルは、NTTグループがサービス提供者へAIやIoTなどのICTツールを提供し、それらにサービス提供者がさまざまな付加価値を付加してお客さまにお届けすることを支援するモデルです。

NTTグループは、これまで多くのパートナー企業や自治体の皆さまとB2B2Xモデルに取り組んできました。これをさらに進化させ、デジタルサービスやデータマネジメントを活用したモデルを推進します。

  • 社会インフラ産業における製造技術の変革に向け、三菱重工業株式会社と共同で、通信用光ファイバ技術をレーザ加工に応用し、従来数メートル程度しか伝送することができなかった高出力シングルモードレーザ光を、精密加工に適した品質を維持したまま数十~数百メートルに渡り伝送することに成功しています。本研究成果は、レーザ加工の効率化・高精度化を可能にするだけでなく、レーザ加工技術の適用領域を拡大し、ものづくりに革新をもたらす技術として期待されています。
  • PSTNマイグレーションに向け、従来の電話網として使用されているメタルケーブルを継続利用したまま、変換装置を経てNTT東日本・NTT西日本のIP網(NGN)へつなげつつ、他事業者とのIPでの接続や、中継/信号交換機のIP化を可能とする基盤的技術を実現しました。引き続き完遂に向けて取り組みを進めています。

高臨場&ナチュラルな世界の実現に向けた研究開発

あたかもその場にいるかのような超高臨場な体験を、あらゆる場所でリアルタイムに感じることができる世界をめざす「Kirari!®」の処理技術をさらに進化させ、中継元の被写体の映像と3次元位置情報を処理・伝送するとともに、中継先の擬似3D表示において被写体の奥行き方向の動きを知覚させる手法を開発しました。これにより、中継先において被写体が3次元的に動いているような視聴体験を実現しました。

例えばスポーツの試合であれば、ステージへ競技者の等身大の擬似3D 映像を投影しつつ、音像定位や両サイドへのマルチアングル映像表示により、あたかもその場で試合が進んでいるようなリアリティを瞬時に生成します。

  • 米MLB(Major League Baseball)との複数年のパートナーシップ契約を締結し、スマートスポーツへの取組みとして,次世代の野球観戦体験の実現に向け、NTTの最新テクノロジーの導入を推進しています。2019年10月のMLBのポストシーズンゲームにおいて、NTTのURV(Ultra Reality Viewing)技術を活用した実証実験を行い、12Kワイド映像の合成・伝送による高臨場感ライブビューイングに米国において初めて成功しました。

最先端研究の推進

IoT・5Gサービスの本格的な普及に向け、大容量光ネットワークのさらなる進化が期待されているなか、独自のデジタル信号処理技術と超広帯域な光デバイス技術を新たに開発し、長距離波長多重光伝送実験に世界で初めて成功しています。また、後述する大容量の無線伝送にも2つの技術を用いて成功しました。その他、大学と共同で無線伝送が可能な超高速ICを開発するなど、最先端研究の推進を図っています。

光通信ネットワークの大容量化

基幹系の光通信ネットワークにおいてもさらなる大容量化の経済的な実現が求められています。私たちは独自のデジタル信号技術と超広帯域な電子・光デバイスを新たに開発し、1波長あたりのチャンネル容量を現在の実用システムの10倍以上高速化することで、毎秒1テラビット容量の長距離波長多重伝送実験に世界で初めて成功しました。さらに、小型・広帯域のInP光変調器を一体集積した超高速小型光フロントエンドモジュールの開発にも成功しました。

無線の分野では、LTEやWi-Fiのおよそ10倍、5Gの5倍という大容量の伝送に2つの技術を用いて成功しました。 1つ目は、OAM多重という新原理とMIMO技術を組み合わせたNTT考案の方式による、毎秒100ギガビットの無線伝送です。回転度合いが異なる複数の電波を生成し、同時に送信してもお互いに干渉せず通信できる方式であり、同時に通信できる量を飛躍的に増大させ大容量の伝送が可能になります。

2つ目は、国立大学法人東京工業大学と共同で開発した、300GHz帯域を利用した毎秒100ギガビットの無線伝送技術です。300GHz帯を含むテラヘルツ波は、より伝送帯域を拡大しやすい一方で、きわめて高性能なデバイスが要求されますが、無線フロントエンド向け超高速ICを開発し、300GHz帯で世界で初めて毎秒100ギガ ビットの無線伝送に成功しました。

超低消費電力で高速動作可能な光トランジスタ

電子回路におけるムーアの法則が限界に近づきつつある中で、光技術を融合させた高速で省エネルギーの新しいコンピューティング基盤の実現が期待されています。そのためには、光-電気間の信号変換や、光領域での高速信号処理など、これまで省エネ化が困難とされてきた技術が必要になります。私たちは、以前より進めてきた、フォトニック結晶と呼ばれる半導体ナノ構造を用いたさまざまな超小型光制御素子の研究により、電気容量や消費エネルギーが極めて低いナノ光変調器(E-O変換)とナノ受光器(O-E変換)を実現しました。また、両者を集積させることでO-E-O変換型の光トランジスタも実現しています。このようなナノ光技術は、高速・省エネの光電融合型情報処理の実現への道筋となると考えています。

未来を見据えた研究開発"IOWN"

NTT R&Dは、究極のフェールセーフを実現するMaaSや究極の臨場感を実現するエンターテイメントサービスなど、現在のインターネットでは実現できない新しいスマート社会の到来を思い描いています。新たな世界の実現のためには、超低消費電力・高速信号処理の実現や、現実と同等以上の仮想世界と高度な予測技術の融合など、現状技術の延長では達成できないイノベーションが必要です。私たちは新たな世界を実現するIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想を提案し、その実現に向けて取り組んでいます。

2020年1月、業界におけるリーダーシップおよびIOWNの軸となる技術分野で優れた専門性を有するNTT・米Intel Corporation・ソニー株式会社の3社でIOWN Global Forumを米国で設立しました。2020年3月からは広く会員募集を開始し、多くの国内外の企業がメンバーとして加入するとともに、オンライン会議を活用しながら、具体的な技術検討に着手しました。今後、さまざまなパートナーの皆さまとIOWN構想の早期実現をめざします。

IOWNを構成する3つの技術

  • オールフォトニクス・ネットワーク
    ネットワークのみならず端末処理までを光化し、これまで実現困難だった超大容量、超低消費電力化、超高速処理を達成
    一本の光ファイバ上で機能ごとに波長を割り当てる運用で、社会基盤を支える複数の機能を互いの干渉なく提供
  • デジタル・ツイン・コンピューティング
    実世界におけるモノ・ヒト・社会に関する高精度なデジタル情報を掛け合わせ、大規模かつ高精度な未来の予測・試行や、サイバー空間上でのモノやヒト同士の高度かつリアルタイムなインタラクションを実現
  • コグニティブ・ファウンデーション
    さまざまなICTリソースを効率的に配備

私たちは、エレクトロニクスからフォトニクス(光)の世界へシフトさせ、世界中のさまざまな社会課題の解決や革新的サービスの創出に向けた技術開発を進めていきます。

IOWN構想を支える研究開発

  • コンピュータの中で情報を処理・演算する装置であるプロセッサ内部の信号伝送を光で行うことで、電気での処理に起因する消費電力と発熱増大の問題を解決し、超低消費電力・高性能な情報処理を実現する光電融合プロセッサの実現をめざし、ナノフォトニクス技術を用いた光トランジスタなど、超小型光電変換素子を実現しました。
  • 現在の秒の基準である原子時計を超える精度を持つ光格子時計を複数つなぎ、時間の比較実験を行うために、国立大学法人東京大学との光周波数伝送実験をNTT東日本の光ファイバ網を使用し行いました。その結果、比較実験に必要な周波数精度を達成し、実験実施に向けて大きく前進しました。

その他最先端研究の推進

  • 国立大学法人東京工業大学と、超高速に動作する全光スイッチを世界最小の消費エネルギーで実現しました。プラズモニクスと呼ばれるナノサイズの光導波路に光を閉じ込める技術と、優れた光特性を有するグラフェンを結合させることで、電気制御では到達不可能な超高速スイッチ動作を低消費エネルギーで実現することに成功しました。この技術を用いることで、将来の光情報処理集積回路における超高速制御への活用をめざします。
  • シート状の炭素材料であるグラフェンを自発的に円筒状の三次元構造に変形させ、その内部で神経細胞を長期培養することで、マイクロ~ミリメートルスケールの微小な神経細胞ファイバを再構築する手法の開発に成功しました。これにより、幹細胞を用いた再生医療の基盤技術や、損傷した生体組織に埋め込むフレキシブル刺激電極の作製技術、薬剤スクリーニングのための生体組織作製技術など、新たなバイオデバイス応用に繋がると期待されます。
  • 国立大学法人北海道大学、岩見沢市と連携し、遠隔監視による無人状態での農機完全自動走行を実現するため、最適な測位・位置情報配信方式や、最適なネットワーク技術、農業やIoT機器によるデータ収集やAIによる分析について検証を進めています。
  • JAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)と、地上と宇宙をシームレスにつなぐ超高速大容量でセキュアな光・無線通信インフラの実現をめざした協定を締結しました。両者の技術融合による社会インフラ創出に向けて、宇宙光無線通信、次世代地球観測、低軌道衛星と地上局間通信などの分野で共同研究を実施します。
  • 電波の届きにくい海中の通信エリア化に向け、海中の伝搬路変動を克服する超音波MIMO多重伝送技術により、現在より2桁高速な1Mbit/sの海中通信を実現しました。

知的財産の保護と活用

知的財産についての考え方

NTTグループの事業活動は、積極的な研究開発活動の成果として生み出された先端技術による製品・サービスによって支えられています。こうした背景から、研究開発で創出される知的財産を適切に保護・活用していくことは、NTTグループの継続的な成長、ひいては、お客さまと社会への継続的な貢献のために重要であると考えています。事業活動のあらゆる局面で、NTTグループの知的財産の保護・活用と、他社の知的財産の尊重を意識した活動を推進しています。

知的財産管理体制

NTTは、研究開発で得た成果を知的財産権で積極的に保護し、事業の優位性を確保するとともに、産業界の発展に貢献する技術や、標準化され、社会で活用されている技術については広くライセンスを行い、成果の普及に努めています

そのために、NTT知的財産センタを中心にNTTグループ全体に関わる知的財産活動方針を策定するとともに、各社の知的財産部門に対し、知的財産の利用、管理に関する支援や調整、また知的財産制度に関するグループの意見集約と対外的な情報発信などを行っています。

第三者の知的財産権の尊重

NTTは、グループ各社が研究開発技術を事業で活用するにあたって第三者の知的財産権を侵害することがないように、研究開発の初期からグループ各社へ研究開発技術を提供するまでの各段階で国内外の他者権利を調査しています。また、知的財産に関する国内外の制度改正、紛争事例、裁判事例などの動向とその影響をグループ各社と共有することで、知的財産権に関する法令の遵守とビジネスリスクの低減を図っています。

研究開発成果の外部への活用

NTTは、設立以来、情報通信業界のリーディングカンパニーとして最先端の技術開発を推進しており、膨大な数の特許を保有しています。

これらのNTTが保有する技術を、皆さまにご利用いただき、電気通信市場のみならず、さまざまな市場の活性化に役立てるよう、広くライセンスを行っています。例えば、標準化活動の取り組みのひとつとして、各種特許プールを介して標準規格に関する特許を多くの企業にライセンスすることで、技術の普及を効率的に進めています。

  • 地方自治体等主催の知財マッチングイベントへの参加
    地域の事業創造を活性化するため、地方自治体等が主催する知財マッチングイベントなどへの参加を通じて、NTTが保有する技術を地域の企業にライセンスし、自社製品開発に活用していただく取り組みを進めています。神奈川県川崎市の企業様では川崎市様と公益財団法人川崎市産業振興財団様の連携によるマッチングイベントを通じて、NTTの保有する技術の特許ライセンスを受け、2019年より新サービスの提供を開始しています。今後もこの取り組みを通して地域経済の活性化に寄与していきたいと考えています。

地方自治体等主催の知財マッチングイベントを活用した地域活性化モデル

  • 知的財産に関する新型コロナウイルス感染症対策支援宣言
    2020年5月は、新型コロナウイルス感染症まん延終結に向けた継続的な取り組みが必要との認識から、「知的財産に関する新型コロナウイルス感染症対策支援宣言」の趣旨に賛同し、「すべての個人および団体に対し、この宣言の日から世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルス感染症まん延の終結宣言を行う日までの間、新型コロナウイルス感染症の診断、予防、封じ込めおよび治療をはじめとする、新型コロナウイルス感染症のまん延終結を唯一の目的とした行為について、特許権、実用新案権、意匠権、著作権の権利行使を行わない」ことを宣言しました。

なお、ライセンス方針および手続きとともにR&D活動の詳細内容や技術ライセンス活動を公開しています。