今回で11回目となるNTT GROUP サステナビリティカンファレンス。NTTグループの中期経営戦略の柱である「新たな価値創造とグローバルサステナブル社会を支えるNTTへ」に向けて、過去最多22カ国・地域より149施策のエントリーがありました。
第11回では、最優秀賞6施策と優秀賞8施策が表彰されました。
※この記事に掲載されているすべての役職はすべて表彰式当日(2024年6月10日)のものです
大分県内の地元企業と事業協同組合を設立し、障がい者を共同で雇用するとともに、NTT西日本のICT商材や特例子会社であるルセント社のノウハウを活用したマネジメントを事業協同組合で活用することで企業の業務をモジュール化、中小企業や地方の企業の参画を促しています。
就労後1年の定着率95%(全国民間企業平均50%)と、障がい者の雇用と企業の業務効率化を同時に実現し、ノウハウを蓄積させながら障がい者の業務量確保に共同で取り組むとともに、障がい者の就労定着・育成を支援することで、啓蒙活動を通じ活動の輪を広げています。
世界的な電力不足、エネルギーコストの上昇などの影響を受けやすいグローバルデータセンターの環境負荷を低減する取組を実施し、各地でのパイロットプロジェクトから得られた成果とノウハウを展開しています。
①アメリカ・シカゴ
これまでExcelで行っていた電力管理をデータトラッキングに移行、電力量を最適化しました。
②インド・ムンバイ
機器の冷却に直接接触式液体冷却(DCLC)、液浸式冷却(LIC)の2つの手法を導入し、年間PUEが1.2~1.25へ大幅に改善しました。
③オーストリア・ウィーン
冷却機械の燃料として第2世代バイオ燃料であるHVO(水素化処理植物油)を採用し、CO2などの温室効果ガスの純排出量を最大80%、窒素酸化物(NOx)を8%削減しています。
④ドイツ・ベルリン
約60℃まで加熱された冷却水の熱を回収、付近のマリエンパーク商業地区に暖房として提供し、排熱を利用した化石燃料を使わない暖房と脱炭素化に貢献しています。
児童虐待の相談件数が過去最多を更新し、児童相談所の業務逼迫など、業務効率化は喫緊の課題となっています。本プロジェクトでは江戸川区児童相談所と連携のもと、児童相談所用の高精度音声認識モデルを開発し、児童相談所特有の相談内容への対応、正確な情報収集と記録作成を支援しています。緊急性の高い通話は即時に上司にエスカレーションされることで、虐待早期発見や迅速な対応に繋がり、トラブルの事前回避に寄与しました。
応対に必要な情報の自動表示やヒヤリング項目の自動チェック機能など、職員のユーザビリティ向上にも注力し、職員の経験差に寄らない応対の平準化と質向上、新任職人の応対補助、対応迅速化に貢献し、職員一人あたりの業務を月間約10~20時間以上削減できました。今後は他の地域への展開、各種公的窓口、保健所、警察、消防への技術・ノウハウの流用などの広がりも見込まれています。
植物検疫製品は20リットルのドラム缶で販売されており、アルゼンチンでは年間15,000トンのプラスチック廃棄物が発生していました。システマ・インテグラによって、認証を受けたエンドツーエンドのトレサビリティを実現し、バルク販売が可能となりました。これにより、包装のための容器やドラム缶が不要となり、プラスチック廃棄物の量が大幅に削減され、2200万個のプラスチック容器が不要となりました。
この取組は製品在庫の監視機能、消費量と損失の特定、物流コストや製品在庫を監視し損失を特定する運用コスト低減にも繋がり、カーボンフットプリントの削減、詐欺・混入物の防止にも繋がっています。
海洋環境の変化による不漁、担い手不足などにより魚の安定確保・供給が課題となっている中、これまで養殖困難とされてきたベニザケを陸上で養殖するプロジェクトに地元スーパーのいちいや岡山理科大学等と共同で取り組み、ビジネスベースでの大型化に世界で初めて成功。2025年の年間10億円の売り上げに向けた計画を進めています。
生産から加工流通消費までの一貫体制を構築する中で福島県内の廃校を拠点にし、地域遊休アセットの活用にも取り組み、陸上養殖ならではの閉鎖循環式陸上養殖システムは、従来のかけ流し式陸上養殖システムと比較して環境負荷が大きく軽減されます。
ヨーロッパ全土の約40%で社会課題となっている漏水の削減に向け、水使用の最適化、特に漏水や逆流の見地に課題を抱えているリエージュ市において、CISCO等の協力を得て、水の使用量を監視するシステムを開発しました。IoTデバイス、ビッグデータ、AIを活用し水配送ネットワークの状態をリアルタイムで把握、老朽化したパイプラインを優先的に交換できる仕組みを構築し、漏水、逆流などの問題をセンサーが検出。水使用量の最適化と衛生管理を実現する節水インフラが、市合計245,000台のうち65,000台が配備されており、2023年には100万立方メートル以上の節水に貢献し、2024年には倍増の200万立方メートルも見込まれています。
リエージュ市の結果を他地域にも導入し、国家間での水交換に備え、双方向の流量を計算して適切な量の水が汲み上げられるように測定も開始し、市民、現場作業員を含めた関係者全員に水消費に対する意識の醸成と習慣化にも注力しています。
大阪・道頓堀は、ポイ捨てゴミによる衛生と景観の低下が長年の課題となっています。2023年11月より道頓堀エリア全域にスマートゴミ箱を設置し、観光客の流れをICT技術により「見える化」し、実証実験ではポイ捨てゴミの4割減少に成功しました。ゴミ箱筐体を広告媒体にする収入モデルの構築やマーケティングデータとして観光消費の促進にもつなげています。
インドではIT技術職の女性の離職率が男性の倍以上で、NTTインドでは女性の割合はわずか15.6%と女性技術者の育成が急務となっており、また、貧困家庭の女子児童の社会的自立も課題です。
本施策では女性のスキルアップや起業家精神を養う教育・雇用支援活動を通じ新たなキャリア形成をサポートしています。
「脱炭素ドミノ」のモデル地域である長崎市において、「歴史文化」×「夜景観光」×「脱炭素」が融合したサステナブルツーリズムの取組を行っています。地域の脱炭素と観光振興の同時実現を目指し、58,000tのCO2排出削減と、電力の地産地消により年間4億円の地域内資金循環を生んでいます。
顔認証システムの利用が困難だった視覚障がい者、高齢者への音声アシストなど、デジタル技術によるサポートによりインクルージョンを促進しています。障がいの有無に関わらないそれぞれの個性を活かす職業訓練を通じ、約50人の雇用を生み、視覚障害を持つ上級アナリストの輩出など、具体的なキャリアアップにつなげました。
「ドコモ・バイクシェア」は、シェアサイクルの草分けとして市場を牽引し、累積利用回数は約7830万回、2022年度のCO2削減量は自動車比で7000トン(全国合計)を超えました。
設置場所は前年比23%増、AIを活用した自転車再配置システムや非接触によるバッテリー充電システムなどサービスを拡大・進化させ続けています。
「CO2Sink」では、イタリア・カラブリア州連携のもと最先端技術を活用し植生に蓄積された炭素の測定とモニタリング手法を確立し、2022年には約5,600ヘクタールの森林のCO2吸収量をリアルタイムで測定に成功しました。また、IoTデバイスと衛生データを組み合わせてスケールアップが見込めるプラットフォームに成長させ、炭素会計の指標化に成功、森林の価値向上につなげています。
「C-Turtle」は、サプライヤが排出削減した効果を自社のScope3算定に反映できない課題に対応する新たなソリューションです。日本国内の企業としては初めて英国のNGO団体が算出する情報使用許諾契約を締結し、国内の大手企業を中心に大きな注目を集めました。
「AVATAR」はEU4か国の様々な研究機関の協力のもと、構造安全性監視によりメンテナンスコストを削減し航空機材の安全寿命を延ばすデジタルツイン予知保全プラットフォームです。
導入することでメンテナンスコストの30%削減と航空機の安全寿命の20%増加が見込まれ、結果、温室効果ガスの排出削減にもつなげられます。
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