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2040年ネット・ゼロ・コミットメント達成に向けて
革新的な施策を進めるNTT Global Data Centers

NTT Global Data Centers 

クラウディア・ウンターキルヒャー

サステナブルなデータセンター運営の重要性

ソーシャルメディア、eコマース、デジタルコラボレーションの増加により、データストレージの需要が高まる中、サステナブルなデータセンター運営の重要性が増しています。NTTグローバルデータセンターでは、環境負荷を最小限に抑えるため、さまざまなサステナビリティの取り組みを行っています。世界中でデータセンターの構築と運営を行いながら、2030年までに自社運営のデータセンターでのCO2排出量ゼロを目標とし、NTTでは2040年までにNTTグループのカーボンニュートラル実現をめざしています。このデータセンタープロジェクトを牽引しているのが、NTTグローバルデータセンター シニアディレクターのクラウディア・ウンターキルヒャーさんです。

「最大規模のグローバルデータセンターを運営している私たちは、より良い世界を作るために重要な役割を担っています。私は、サステナビリティを優先し、CO2排出量を削減するための革新的なソリューションを積極的に模索するNTTの一員であることを誇りに思います。NTTグローバルデータセンターでは、データセンターの運営上のどの段階でCO2の排出が発生しているかを理解し、それぞれに合った対応を実施しました。私たちのデータセンターでは、冷却用の電力使用、冷却インフラからの冷媒漏れ、バックアップ電源システムの燃料使用が主なCO2排出源となっています。これらの排出を削減するために、いくつかの革新的な施策を導入しています」(クラウディア・ウンターキルヒャー、以下同)

革新的な冷却技術の導入

NTTグローバルデータセンターは、LIC(液浸冷却)やDCLC(直接接触液冷却)といった先進的な冷却技術を、インド・ムンバイのNavi Mumbai 1データセンターに導入しました。IT機器の冷却にこれらの技術が使用されており、エネルギー効率の向上を図っています。この技術導入により、冷却システムのエネルギー消費が大幅に削減されました。

「LICとは、IT機器を電気的に安全な液体に直接浸す冷却方式であり、これにより冷却効率が飛躍的に向上します。またDCLCは、冷却液がIT機器内を循環し、熱を直接取り除く方式です。これらの技術は、従来の空冷方式と比べてエネルギー消費が少なく、高温環境でも安定して動作するため、特にインドのような高温多湿な地域で効果的です」

「このプロジェクトの成功により、冷却技術の世界的な展開を促進できます。このプロジェクトを通して学んだ教訓を共有することで、今後他国への導入・実装に展開していきます。それにより、効率的なデータセンターの運営がどこでも可能となり、特に熱帯地域ではPUE(電力使用効率)をこれまでにないレベルに引き下げることができます」

インド・ムンバイにあるNTTグローバルデータセンター Navi Mumbai 1に導入されている(左)LIC(液浸冷却)装置と、(右)DCLC(直接接触液冷却)装置。サーバーを液体に直接浸すという革新的な方法で、高い冷却効率や省エネを実現している

再生可能エネルギーと廃熱再利用の取り組み

NTTグローバルデータセンターでは、予備発電機の燃料として、従来の燃料に代わり再生可能な燃料源であるHVO100(水素化植物油燃料100%)を使用しています。この取り組みは、オーストリアのVienna 1データセンターで成功を収め、直接排出量の大幅な削減に寄与しています。

「HVO100の導入により、NOx(窒素酸化物)排出量を8%、CO2排出量を3%、PM(粒子状物質)排出量を42%削減することができました。また、HVO100は第二世代のバイオ燃料であり、最大90%の温室効果ガス排出削減を実現しています。このプロジェクトから得られた知見は、HVO100やその他の代替燃料の利用を、他のデータセンターに拡大させることにも役立ちます」

(左・中央)オーストリア・ウィーンにあるNTTグローバルデータセンター Vienna 1の燃料供給設備
(右)ドイツ・ベルリンのNTTグローバルデータセンターの廃熱輸送設備

ドイツでは、データセンターのITサーバーから発生する大量の熱を再利用して自社内に供給し、さらに近隣地域に暖房と温水を提供しています。このプロジェクトでは、年間最大2メガワットの熱を供給することが可能であり、地域の化石燃料需要削減に貢献しています。
データセンターからの廃熱を輸送するには、しっかりとしたインフラが必要です。熱は比較的低温であるため、長距離にわたって転送することはできません。このプロジェクトにおける最大の課題は、インフラを確立するためのパートナーを見つけることでした。

「私たちのパートナーであるベルリンのエネルギー供給業者GASAGと、オーストラリアの不動産投資・管理会社Investaが協力し、このプロジェクトの実現に貢献しました。このような取り組みは、サステナブルエネルギー利用のモデルケースとして他の地域にも広がる可能性があります。データセンターの長いライフサイクルである30年から50年を考慮すると、廃熱利用インフラがデータセンターと地域の両方に対して効果的に機能することが重要です。このプロジェクトの成功により、同様のプロジェクトを横展開することが可能になります。現在、ベルリンのデータセンターからさらに多くの廃熱を回収するためにプロジェクトが拡大される予定です。」

データ活用で持続可能な目標の進捗を効率的に追跡

NTTグローバルデータセンターでは温室効果ガス削減のために「NTT Smart World Platform」を考案しました。世界各国のデータセンターのデータを活用して、温室効果ガス削減に効果的なエリアを特定します。また、温室効果ガスの排出量、水、廃棄物の測定を自動化し、サステナビリティ目標の達成に向けた効率的なデータ追跡を行っています。このプラットフォームを活用して、データセンターが位置するそれぞれの地域の目標達成の進捗状況を、より高いレベルで統合して管理することをめざしています。また、季節的なエネルギー利用の傾向を分析し、より効率的なエネルギー管理のために予測機能を活用することも検討しています。

クラウディア・ウンターキルヒャーさんのSelf as We

「『Self as We』というコンセプトは、個人がより大きなコミュニティ、すなわち人々、自然、そして技術と相互に関わりあっていることを強調しています。この考えは、環境負荷削減のために協力し合い、サステナブルな未来を推進するというNTTグローバルデータセンターの理念とよく合致しています」と語るクラウディア・ウンターキルヒャーさん。

「私が現在の仕事をSelf as Weと結びつけると、まず思い浮かぶのは協力です。共通のサステナビリティ目標を達成するために、さまざまなステークホルダーと協力しています。次に革新が挙げられます。液浸冷却やHVO100燃料などの最先端技術を導入し、排出量を削減しつつ効率を向上させています。また責任も重要な要素です。私たちはデータセンターをできるだけサステナブルにするために積極的な対策を講じています。さらに、コミュニティも欠かせません。廃熱再利用などの取り組みを通じて、地域社会と関わり、温室効果ガス排出量を削減するサービスを提供しています。最後にマインドセットとして、継続的に学び、能力を向上させ、組織内にサステナビリティ文化を創造することが大切です。
ヘレン・ケラーの『一人ではできることが少ないが、共にすれば多くのことができる"Alone we can do so little. Together we can do so much."』という言葉は、このSelf as Weのエッセンスをよく表しており、集団行動と責任共有の力を強調しています。この言葉に象徴されるように、私たちは協力し合い、革新を追求し、責任を持ち、コミュニティと連携しながら、サステナブルな未来を築いていきます」