近年、世界人口の急増や自然災害の巨大化をはじめ、食糧・環境問題の深刻化、日本においては少子高齢化にともなう生産年齢人口の急減、人手不足など、さまざまな社会的課題が顕在化しています。それらの課題を解決するためには、社会・経済の大きな変革が求められており、あらゆる場面でICT(情報通信技術)を活用したデジタルトランスフォーメーションの推進が必要となっています。
デジタルトランスフォーメーションを牽引し日本における少子高齢化、教育、健康・医療、地方活性化など各国固有に存在する社会課題の解決に貢献し、次世代につなぐ新たな価値を創造してまいります。
私たちNTTグループは、民主的で多様な文化を認め合いながら発展する社会と価値創造に貢献するために、あらゆる人・モノ・文化(国~集団・社会)を高い倫理観とデジタルの力でつなぎ社会課題の解決に貢献してまいります。
デジタルトランスフォーメーションを牽引し日本における少子高齢化、教育、健康・医療、地方活性化など各国固有に存在する社会課題の解決に貢献し、次世代につなぐ新たな価値を創造してまいります。
B2B2X収益額
2023年度:8,700億円
近年、世界人口の急増や自然災害の巨大化をはじめ、食糧・環境問題の深刻化、日本においては少子高齢化にともなう生産年齢人口の急減、人手不足など、さまざまな社会的課題が顕在化しています。それらの課題を解決するためには、社会・経済の大きな変革が求められており、あらゆる場面でICT(情報通信技術)を活用したデジタルトランスフォーメーションの推進が必要となっています。
NTTグループは、これまでも異業種の企業や自治体とコラボレーションする研究開発やICT基盤、人材などさまざまな経営資源や能力を活用しながら、デジタルトランスフォーメーションを推進し、社会的課題を解決してきました。
また、グループ横断での事例展開を目的とした社内カンファレンスの開催(2023年2月22日)を行い、オールNTTグループで本取組みを推進しております。
NTTグループでは、「B2B2Xモデルの推進」を中期経営戦略の柱のひとつとして掲げるとともに、グループの連携を図りながらプロジェクトを拡大するために社長を委員長とするマーケティング戦略委員会を設置し運営しています。
また、定期的に開催される取締役会においても今後の展開についての議論を深めており、株主総会にその進捗を報告しています。
B2B2Xは、さまざまなパートナーと連携して、新たな価値の創造をめざし、社会的課題の解決をめざす事業モデルです。
パートナーのみなさまが持つ、各業界の知見や顧客基盤と、NTTグループが持つ「デジタルサービス」や「データマネジメント技術」を組み合わせることで、パートナーのお客さま(ユーザ)に新しい価値を提供することをめざした事業です。
①産業バリューチェーンの進化、②顧客対応の進化、③モバイルデータの活用、④地域に根差したサービス・街づくりなどの分野において、オールNTTグループでの取組みとして展開しております。
最先端の睡眠医学の知見を有する株式会社ブレインスリープ(以下、「ブレインスリープ」)とICT技術に関する高度な知見・ノウハウを有する東日本電信電話株式会社および株式会社NTT DXパートナー(以下、「NTT東日本グループ」)とパートナーシップ契約を結びスリープテック事業への取り組みを開始いたしました(2022年6月1日)。
企業の健康経営に対する関心が高まるなか、企業の生産性を図る指標の1つとしてプレゼンティーズム(病休するほどではないが生産性が低下している状態)が注目されております。このプレゼンティーズムは睡眠と深く関連しており、従業員の生産性向上には質の高い睡眠が必要であると言われています。
NTT東日本グループならびブレインスリープは、企業向けの睡眠状態の可視化および改善を⽬的とした「睡眠偏差値 for Biz」および測定デバイス「ブレインスリープ コイン」サービス の提供開始し、従業員の睡眠改善にすぐに取り組むことがで きるよう従業員の睡眠の質の診断から睡眠改善コンテンツまでパッケージングして展開し、企業の従業員の睡眠の質の向上によるプレゼンティーズム解消をサポートしております。
また、睡眠課題解消に対してさまざまな企業が共同で睡眠改善に資する新規事業創出やサービス開発、イベントを企画する仮想コミュニティ"Sleep Network Hub 「ZAKONE」(https://zakone.jp)"を2022年9月3日にグランドオープンし、新たに睡眠市場に参入したい企業や既に睡眠市場で活動している企業の共創による更なる睡眠市場発展を目的とした仮想コミュニティを開設し、睡眠課題に関する新しいイノベーション創出に取り組んでおり、2023年8月時点で68社と国内最大級の睡眠企業コミュニティへ成長しています。
NTT東日本グループは人間の生活インフラでもある睡眠をテクノロジーを活用して課題を解消していくことで、地域企業や地域社会の更なる発展に向けて、企業活動や社会活動の基本となる⼈々の健康増進にから寄与してまいります。
※1 Ishibashi, Y., & Shimura, A. (2020). Association between work productivity and sleep health: A cross-sectional study in Japan. Sleep Health. https://doi.org/10.1016/j.sleh.2020.02.016
「SmartPRO®」(以下 本サービス)を2022年5月20日より提供開始いたしました。本サービスは、被験者や患者から直接得られる主観的評価(以下PRO※1)を電子化し、被験者や患者が自身のスマートフォンから「痛い」「気分が悪い」などの状態を回答できるePRO※2です。製薬会社や研究機関は、被験者や患者のPROを、本サービス上で閲覧することやダウンロードすることが可能です。なお、本サービスにおいて被験者や患者が、臨床試験後も健康に関するあらゆるデータを記録できる日誌機能を、2022年度内に提供予定です。また本サービスで収集したデータを安心・安全に利活用することで、被験者や患者のQOL向上に貢献する新たなヘルスケアサービスを検討します。
本サービスを通じ、デジタル技術の活用により医療発展へ貢献するSmart Healthcareの実現に取組んでいきます。
NTTは2025年大阪・関西万博において"Natural"をテーマに様々な出展・協賛を実施します。IOWNを活用し、遠く離れた空間・感覚の共有にチャレンジするNTTパビリオンを始めとし、万博会場全体のバーチャル万博プラットフォーム、来場者の体験を最大化するパーソナルエージェント、万博会場内のIOWN-APNなど幅広い分野に参画します。また、パビリオンの敷地内では水素の生成、貯蔵にもチャレンジし、パビリオンの電力に活用するほか生成した水素はパナソニックグループパビリオンに水素パイプランで託送します。
2022年2月より障がい者の方など外出が困難な方による、DOORバーチャルサロン内でのOriHime-Dアバターを通じた案内業務を開始しました。これによりDOORの利用者は、OriHime-Dアバターに話しかけることで、操作方法を聞いたり、必要な情報を得たりすることができます。
また、DOOR バーチャルサロンにおいてAIアバターを活用した受付応対等の取組みを開始しました。本取組みでは、NTT研究所技術をベースにNTTグループが開発したAIアバターによる自動応答により、バーチャルサロン内におけるコンテンツの説明による情報提供に加え、音声情報、顔の表情や声の抑揚などといったノンバーバル情報も統合学習し対話応答することが可能なAIアバターと会話を体験することができます。
新たな価値創造と地球のサステナビリティのために挑戦し続けるNTTグループの事業に安心安全を与え、成長を支えるため知的財産戦略を立案し、得られた研究開発成果を知的財産として適切に保護するだけでなく、他者の知的財産を尊重しながら活用を進めてまいります。
前年度同等
特許出願件数
NTTグループの事業活動は、積極的な研究開発活動の成果として生み出された先端技術による製品・サービスによって支えられています。こうした背景から、研究開発で創出される知的財産を適切に保護・活用していくことは、NTTグループの継続的な成長、ひいては、お客さまと社会への継続的な貢献のために重要であると考えています。事業活動のあらゆる局面で、NTTグループの知的財産の保護・活用と、他社の知的財産の尊重を意識した活動を推進しています。
NTTは、研究開発で得た成果を知的財産権で積極的に保護し、事業の優位性を確保するとともに、産業界の発展に貢献する技術や、標準化され、社会で活用されている技術については広くライセンスを行い、成果の普及に努めています。
そのために、NTT知的財産センタを中心にNTTグループ全体にかかわる知的財産活動方針を策定するとともに、各社の知的財産部門に対し、知的財産の利用、管理に関する支援や調整、また知的財産制度に関するグループの意見集約と対外的な情報発信などを行っています。
NTTは、グループ各社が研究開発技術を事業で活用するにあたって第三者の知的財産権を侵害することがないように、研究開発の初期からグループ各社へ研究開発技術を提供するまでの各段階で国内外の他者権利を調査しています。また、知的財産に関する国内外の制度改正、紛争事例、裁判事例などの動向とその影響をグループ各社と共有することで、知的財産権に関する法令の遵守とビジネスリスクの低減を図っています。
NTT 知的財産センタ
NTTは、設立以来、情報通信業界のリーディングカンパニーとして最先端の技術開発を推進しており、膨大な数の特許を保有しています。
これらのNTTが保有する技術を、みなさまにご利用いただき、電気通信市場のみならず、さまざまな市場の活性化に役立てるよう、広くライセンスを行っています。たとえば、標準化活動の取組みのひとつとして、各種特許プールを介して標準規格に関する特許を多くの企業にライセンスすることで、技術の普及を効率的に進めています。
NTTグループにおける知財投資の大きな割合を占める持株研究開発の成果として得た特許の保有件数は、国内外をあわせ約18,000件となっています。
このうち、2022年6月に特許庁がグリーン・トランスフォーメーション(GX)に関する技術を俯瞰するために作成した技術区分「GXTI (Green Transformation Technologies Inventory)」における5つのGX技術においてNTTは、これまで培ってきた研究開発の成果としてエネルギー供給(gxA)、電池・蓄エネ(gxC)、省エネ・電化・樹有調整(gxB)の順に特許を保有していることが確認できます。
GXTI(
https://www.jpo.go.jp/resources/statistics/gxti.html
)
世界を先導するICT企業であるNTTグループにおいて、研究開発(R&D)はグループ企業の競争力の源泉たる重要課題(マテリアリティ)だと認識しています。中期経営計画の柱である「研究開発の強化」に基づき、新しい技術の研究開発に取組み、多様な領域で新たな価値を創造することで、NTTグループの各事業会社とともに、お客さまのデジタルトランスフォーメーションや、一人ひとりに応じたライフスタイルの変革を支援していく役割を担っています。
NTTグループでは、R&Dを通じて生産性の向上、安全・防災などさまざまな問題を克服し、その結果として産業競争力の強化、社会的課題の解決をめざしています。ICTはさまざまな分野で活用されるため、NTTグループだけではなく、多分野にわたる産業界の方々とパートナリングを行いつつ、R&Dに取組んでいます。
NTT、インテル コーポレーション、ソニー株式会社は、新たな業界フォーラムであるIOWN Global Forum, Inc.(以下、IOWN GF)を2020年1月に米国にて設立、今では111組織が参画するまでに成長しました(2022年11月時点)。
IOWN GFでは、これからの時代のデータや情報処理に対する要求に応えるために、新規技術、フレームワーク、技術仕様、リファレンスデザインの開発を通じ、シリコンフォトニクスを含むオールフォトニクス・ネットワーク、エッジコンピューティング、無線分散コンピューティングから構成される新たなコミュニケーション基盤の実現を促進していきます。
NTTグループの研究開発は、NTTが有する「IOWN総合イノベーションセンタ」「サービスイノベーション総合研究所」「情報ネットワーク総合研究所」「先端技術総合研究所」において行う、IOWN構想の具現化やサービス・ネットワークに関する基礎・要素技術などの電気通信分野の基盤となる技術に関する基盤的研究開発、グループ会社における各社の事業に密着した応用的研究開発がベースとなっています。
また、マーケティングやビジネスプランの策定、アライアンス形成などを行い、NTT研究所で開発した成果を早期にグループのビジネス展開につなげる「総合プロデュース活動」を進めています。この「総合プロデュース活動」では、NTTの研究開発が持つ幅広い基盤技術を社外の技術と組み合わせながらタイムリーな形で事業化していくため、グループ各社はもちろん多彩な企業とのコラボレーションから新たなサービスを創造しています。将来にわたってイノベーションがNTTグループの重要な成長ドライバーであり続けるために、多くの特許出願や対外論文の発表を行うなど、社会的課題を解決するイノベーションを推進することで持続可能な社会の実現に貢献することをめざします。
NTT、インテル コーポレーション、ソニー株式会社は、新たな業界フォーラムであるIOWN Global Forum, Inc. (以下「IOWN GF」)を設立しました。IOWN GFの目的は、これからの時代のデータや情報処理に対する要求に応えるために、新規技術、フレームワーク、技術仕様、リファレンスデザインの開発を通じ、シリコンフォトニクスを含むオールフォトニクス・ネットワーク、エッジコンピューティング、無線分散コンピューティングから構成される新たなコミュニケーション基盤の実現を促進していきます。
持続可能な経済・社会活動を確立していく上では、エネルギー・環境/気候変動・防災・海洋インフラ・安全保障等の多様な分野において、成層圏・地球近傍宇宙空間をICTインフラ基盤として効果的に最大活用することがより一層重要となります。NTTでは、「宇宙統合コンピューティング・ネットワーク構想」を掲げ、宇宙空間に構築する光無線通信ネットワークおよび成層圏で構築するモバイルネットワークを手始めに、新たなインフラの構築への挑戦を推進していきます。
NTTとスカパーJSAT株式会社は、持続可能な社会の実現に向けた新たな宇宙統合コンピューティング・ネットワーク事業を担う合弁会社「Space Compass」を設立しました。新会社では、宇宙統合コンピューティング・ネットワーク構想の第一歩として、宇宙データセンタ(宇宙における大容量通信・コンピューティング基盤)、宇宙R A N (Beyond5G/6Gにおけるコミュニケーション基盤)の事業・サービスに取組んでいます。今後、民間主導での成長が見込める宇宙空間において、新たなインフラ構築に挑戦し、持続可能な社会づくりに貢献します。
デジタル技術の発展によって、映像の超高精細化等さまざまな技術革新が生まれてきましたが、さらなる進化のためには発想の転換が必要だと考えています。
IOWN構想では、人間だけの価値観でフィルタリングせず、より多様な価値観・知覚を通して、ありのままの現象・情報を捉えるようにすることが重要だと考えています。「すべての生物は種特有の知覚システムを有しており、それぞれが種特有の知覚世界を持ち、その主体として行動する」とドイツの生物学者であるヤーコプ・フォン・ユクスキュル博士が「環世界」(ドイツ語では「Umwelt」)を提唱していますが、IOWN構想はまさに見る主体によって物の見え方は異なり、それぞれの価値観に応じて伝えるべき情報も処理の仕方も変わってくるという考えに基づき、さまざまな価値観に応じた情報を余すことなく伝え、そして処理することをめざしています。
こうした新たな発想の実現に向けては、劇的な低遅延、膨大な帯域幅、極小の遅延変動が必要ですが、現在のインターネットでは、伝送能力と処理能力の双方に限界が訪れています。また膨大な情報処理に伴って消費電力は増大し続けており、CO2排出量の増加は世界的に深刻な問題になっています。NTTグループの考える"ありのままの情報を扱える"より大容量、低遅延、低電力消費なインフラを実現するには、ネットワークからコンピューティングまでのさまざまなレイヤ個別の設計から脱却し、End-to-Endかつフルスタックでの再設計・最適化が必要です。そこでキーになるのが「光電融合」の技術です。従来、光は「伝送」、電子は「処理」と役割が完全に分離しており、光信号と電気信号とを変換する作業は効率が悪く消費電力も大きくなります。光と電子を緊密に融合していけば、プロセッサレベルまで含めて全体に光技術を適用することができ、フルスタックでアーキテクチャ(仕組み)を見直すことができます。
人間が見ている花の姿(左)/ 蜂が見ている花の姿(右)
NTTが過去から光に関する知見を積み重ねてきたのは大きなアドバンテージだと思います。みなさまに馴染みが深いのは、光ファイバーケーブルを使ったインターネット接続サービスだと思いますが、NTTが長らく研究してきたのは光ファイバーケーブルという伝送媒体にとどまらず、伝送装置や情報処理までを光で実現できないか、ということです。これらの「研究」成果を、より商用に近い「開発」に軸足を置いて、実用化をめざして進めているというのが現状のステータスです。そして、最近の成果として、「光電融合技術」は光-電気変換、電気-光変換を超高速かつ超低消費電力に行えることがコアです。LSIの中で最も電気を消費するのがI/O(入出力)であり、そこを光に置き換えることのインパクトは非常に大きいのです。また、電気では、信号を伝送する距離が増えると急激に消費電力が増えますが、光ではそこまで急激には増えません。従って、光電融合技術によって光を導入することで、元々の光の特徴である超高速はもとより、超低消費電力が実現可能となります。その典型例がNTTが2019年に開発した光トランジスタで、世界で初めて超高速と超低消費電力を両立しました。トランジスタとは、電気信号に制御信号を与えることで適切な形に出力できる変換装置のことです。信号を変換することはスイッチングと言います。光をスイッチングするいままでの装置は、巨大で価格も数千億円したのですが、それが今回、光トランジスタの実現により、チューイングガムくらいの大きさにまで小型化できました。また光トランジスタの研究開発には信号処理の技術だけではなく、光の変調器を作るということも重要です。ある波長のスペクトラムが乱れないように精度が高く安定化が図れるノウハウが必要で、これはアナログ技術であり、家内工業的なものです。長距離を光でつなげられるようになったのは、そういった我々の技術が生かされているところが大きいです。データ量の増加や消費電力の増加に対応するには、電子処理から光伝送へ構造展開する必要があり、その構造展開を支える技術面において、光トランジスタの高精度化・小型化・低コスト化がブレークスルーとなりますが、そこにNTTグループの優位性があるということです。
IOWNはさまざまな領域で使えるようになると思いますが、わかりやすいシナリオを2つ紹介します。
まず、データセンターの内側の話、ディスアグリゲーテッドコンピューティングです。パソコンも同じような構造ですが、サーバにはインターフェースがあり、CPU、メモリ、ストレージが揃っています。CPUが指示を出して、メモリに一時的に情報をため、CPUが計算した結果の情報をストレージにため込んでいくというのが今の流れです。
CPUが電気信号でいちいち指示を出して動かしていたのですが、GPUやDPU等のアクセラレータを直接光でつなぎ、それぞれを異なった波長で結ぶことで、サーバそれぞれにCPUやメモリが揃っている必要はなくなります。ある筐体にCPUがあり、別のところにメモリがあり、それを光でつなぐことであたかも一つのサーバ上に膨大なCPUやメモリが搭載されているような状況を作り出せるのです。
ディスアグリゲーテッドコンピューティング
超低消費電力で高速処理が行え、必要なだけパーツを追加できるスケーラブルなコンピューティングインフラを構築することができます。この場合のビジネスモデルとしては、光トランジスタを販売することが考えられます。光トランジスタそのものだけでなく、光電融合技術や光の変調器をコンピュータのボードや半導体パッケージにいれるプロダクトも考えられます。キーとなる部品を売るイメージです。次に、もう少し範囲を広げてネットワーク間にも光を活用するオールフォトニクスネットワーク、データセンターの外側の話です。都市間を結ぶような中継系のコアや都市内を巡らせるメトロネットワークに使われる光伝送技術を末端となるエンドユーザ近くにまで拡張させ、「1人1波長」のように超大容量の光のパスを用途ごとに柔軟に構成できるようにすることができます。オンデマンドかつ1対1で光の専用線を張るようなイメージで、映像等も圧縮せず、ほとんど遅延がない形で送受信できるようにすることができます。
APNは基地局とモバイルアンテナを結ぶモバイルフロントホール部分への適用も考えられます。都市部では昼夜で人口が変わるため、トラフィック量も必然と異なってきます。そこで動的に光パスを構築するロードバランシングで、電力消費を抑制することができます。またデータセンター間を結ぶ回線としてもAPNは提供可能です。最近では莫大な電力を必要とする大規模なデータセンターを設置するのが難しくなっています。
今後は小中規模のデータセンターを広範囲に分散設置する方向になりますが、大規模データセンターと比較しても遜色なく稼働するよう、分散されたデータセンター間を「光」でつなぐ必要がでてきます。大規模なデータセンターでは膨大な電力が必要となりますが、分散設置すれば、その配置場所近傍で発電された再生可能エネルギーを利用することもでき、エネルギーの地産地消にも対応できると考えています。APN提供ケースにおけるビジネスモデルですが、モバイルフロントホールやデータセンター間のネットワーク提供等のインフラサービスプロバイダーとしてのビジネス、APNで接続された分散型データセンターを提供するデータセンタービジネス、データセンターのエッジに設置する光トランシーバーを販売するプロダクトビジネス等が考えられます。
オールフォトニクスネットワーク(APN)の特徴
IOWNとは「あるものをあるがままに伝え・処理」し「今のインターネットでは実現できない新しいスマート社会を低エネルギー消費でサステナブルに実現する」という光をベースとした革新的構想です。現在のユースケースとしては以下を想定しています。
①データセンター事業者向けのインターコネクト提供、②モバイル事業者向けのモバイルネットワーク提供はすでに紹介しましたが、③イベント(ライブ中継、クラウド型eスポーツ中継)向けのネットワーク提供も考えられます。クラウド型eスポーツイベントの中継については、すでに実証実験も行っています。クラウドを介した対戦型ゲームはお互いリアルタイムで戦いますが、大容量の8K映像を20ms以下の遅延でやり取りすることが重要となります。数ミリ秒の遅延と、その10倍の遅延が発生した場合を対比すると、攻撃のタイミングが異なってきます。攻撃のタイミングがずれてしまうような遅延環境では、ゲームとして戦うことができません。実証実験での遅延結果は20msでしたが、これを数ミリ秒まで縮める努力をしており、かつ1μs単位で遅延をコントロールして、同期を取れるようなシステムを現在開発中です。
バーチャルでのリアル再現(ライブ、eSports)
これらのユースケースについては、早期に実証等を行い、お客さまからフィードバックをいただき、IOWNの技術をさらに磨いていければと考えています。2020年頃から、まずはスマートシティや重要インフラ等、先進サービスを要望するユーザやエリアに対して、フィールド実証を進めてきました。続いて、2022年度からは、まだ特定用途、特定エリアに限定されますが、サービス導入を進めていきます。その後、2026年以降では、導入済エリア同士を接続する等で、全国規模への拡大を進めていきます。また、近い将来の重要なイベントとしては、2025大阪・関西万博があります。ここまで挙げてきたIOWNの技術の一部を、既存の技術とも上手く組み合わせながら、IOWNの世界観の一端をわかりやすくお伝えしていきたいと考えています。これにあたっては、さまざまな企業・団体のみなさまとのパートナリングを通じて新たな価値を提示し、その後の社会実装につなげていきたいと考えています。
IOWN拡大ロードマップ
デジタルトランスフォーメーションを牽引し日本における少子高齢化、教育、健康・医療、地方活性化など各国固有に存在する社会課題の解決に貢献し、次世代につなぐ新たな価値を創造してまいります。
97%
5G親局(高度特定基地局)基盤展開率(2023年まで)
ドコモを中心に、お客さま一人ひとりに合わせたきめ細やかな「パーソナルソリューション」を実現し、多様化するお客さまのライフスタイルの変革をサポートしています。2021年度の携帯電話の契約数は8,475万名分となりました。
サービス面では、電子決済やコンテンツなどの充実を図るとともに、AI・ビッグデータの活用により一人ひとりのお客さまとのコミュニケーションの充実に努めています。
RPA※1の導入による業務効率化を推進し、2020年6月末時点でのNTTグループの業務プロセス活用数は、約2,900となりました。RPAの導入についてはグループ内に限らず、お客さまにも提案を進めており、2021年6月時点で約6,500社以上のお客さまにご利用いただいています。また、さらなるグループ経営の高度化に向け、人事・財務・調達などの業務においてグループ統一ERP※2の導入を推進しました。
2020年3月から5G商用サービスを開始しました。「5Gギガホ」「5Gギガライト」といった料金プランと、7機種の5G端末、ゲーム・音楽・スポーツジャンルでのサービス、産業の高度化やデジタルトランスフォーメーション推進などに寄与するソリューションを提供します。
2024年3月までに全国1,741すべての市区町村への展開および人口カバー率90%以上の実現をめざし、新しい価値の創出や社会課題の解決に貢献し、お客さまの生活がより便利で、豊かなものになるよう取組みを推進します。
NTT東日本では、持続可能な地域循環型社会の実現に向けたプロジェクトの一つとして、農業DXを推進しています。
AI、IoT、ドローンなどICTを活用したスマート農業の支援もその中の1つです。
農業は地域の基幹産業であることが多い一方で、農産物の大部分を輸入に頼っているのも実情です。そこには農業従事者の高齢化や担い手不足などのさまざまな問題をITの事業者として解決できないかという考えのもと、 NTTe-City Labo(NTT中央研修センタ)には、最先端のビニールハウスを有し、NTTアグリテクノロジーの栽培スタッフが育て、市場に流通している"NTT産"のトマトが収穫され、地産地消で市内の小学校にも給食として提供しています。また、自分たちが食べたトマトがどのように栽培されたのかを知るために、80名の地元小学生が校外学習で見学に来るなど、食育コンテンツとしても活用されています。
4Kカメラを搭載したロボット。
遠隔操作でハウスの中を走行させ、トマトの状態をより詳細に確認できる。
NTTグループでは、年齢、性別、身体的な機能の違いに関係なく、すべてのお客さまにとって利用しやすい製品やサービスを実現する「ユニバーサルデザイン」の普及に取組んでいます。
※1高齢者や子ども、障がいのある方、言語の壁がある訪日外国人の方なども利用することができる製品・サービス(機能拡充も含む)
NTTグループは、高齢者や障がい者の方々を含む幅広いお客さまにWebサイトをご利用いただけるよう、アクセシビリティの確保と向上に取組んでいます。具体的には、「NTTグループウェブアクセシビリティポリシー」を制定し、日本国内に本社機能を持つNTTグループ各社の公式サイトについて、JIS X 8341-3:2016※2にしたがって方針を定め、レベルAAに「準拠※3」することを目標とします。
NTTグループの「ウェブアクセシビリティ」の取組みについて
※2JIS X 8341-3:2016 は、日本工業規格「高齢者・障がい者等配慮設計指針-情報通信における機器、ソフトウェアおよびサービス-第 3 部:ウェブコン テンツ」です。
※3 準拠とは、情報通信アクセス協議会ウェブアクセシビリティ基盤委員会「ウェブコンテンツの JIS X 8341-3:2016 対応度表記ガイドライン 2016 年 3 月版(2016 年 3 月 22 日公開)」で定められた表記によります。アクセシビリティポリシーを策定・公開し、JIS X 8341-3:2016 に基づく試験を実施し て、達成基準を全て満たすことを確認したことを表します。
高齢者、障がい者など、さまざまな方がICTサービスをご利用いただけるよう、各種割引サービスを展開しています。
NTT東日本・NTT西日本では、学校教育におけるインターネット環境の普及・拡大に向けて、2001年よりインターネットの定額利用に適したフレッツサービスを学校向けに特別料金で提供しています。
NTT東日本
NTT西日本
NTTドコモでは、障がいのある方のさらなる社会参加支援を目的にハーティ割引を提供しています。
NTTクラルティにはさまざまな障がい者が多数在籍しております。お客さまのご要望に応じて、バリアフリー、アクセシビリティ確保、ユニバーサルデザイン、インクルーシブデザイン化の構築を見据え、研究・開発・企画初期の段階からのコンサルティングを実施しています。
NTTクラルティでは、障がい当事者ならではの視点を活かし、ウェブサイト上にあるバリアの改善策をわかりやすく提案するさまざまなウェブアクセシビリティ対応サービスを提供しています。
NTTグループは、グループ各社において、一般消費者向けの製品・サービスから法人事業者向けのサービスまで、さまざまなお客さまに幅広い製品・サービスを提供しています。
NTTグループのビジネスフィールドである通信・ICTの世界は、活発なイノベーションが展開され、新しい製品やサービスが生まれ続けています。スマートフォンやタブレットなどモバイル機器は日々進化し、NTTグループのネットワークを活用した新たなサービスも続々と誕生しています。一方で、技術やサービスの進化に伴い、それを利用するために必要な情報量が増加し、機器の不具合や各種料金・サービスの不明点などお客さまからのさまざまなご確認やお問い合わせ、ご意見・ご要望をいただく機会も増えています。NTTグループは、サービスを利用されるお客さまの疑問や不安を解消し、すべてのお客さまの満足度を高いレベルで維持することが、お客さまとの間に信頼関係を育み、新たなお客さまの獲得にもつながると考えています。
NTTグループ各社は、お客さま応対における時間短縮につなぐための業務の改善、アンケート調査やお客さま相談室などに寄せられるご意見やご要望などの「声」をもとに製品・サービスの改善・開発につなげていく仕組みを構築し、お客さまの声に寄り添ったサービスの開発と提供を推進しています。具体的には「ドコモショップにおける待ち時間および応対時間の短縮」「お客さまの声を活かした改善件数」「コールセンターの応答率」などをKPIとして、毎年前年度以上の実績を上げることを目標に継続的に向上できるよう好循環を図っています。
NTTグループは、今後もグループ各社が自らの事業内容に合わせて、お客さまの求めるサービス品質や現場対応力など、お客さまの満足を継続的に高めていく独自の取組みを進めていきます。
NTTグループ各社では、お客さまからの製品・サービスに関するお問い合わせや、故障の受付け、苦情などに応対するコールセンターを設けています。NTTグループの主要なコールセンターにおいては、毎日平均18万件以上のお電話をいただいており、お客さまをお待たせすることなく応答することを心がけています。また、それぞれのコールセンターでは応答率向上、応対・サポートの品質向上に向け、独自の目標を定めるとともに、電話応対コンクールや応対スキルの向上に向けた研修を実施するなど、さまざまな取組みを実施しています。
NTTグループでは、各コールセンターや窓口でいただいたお客さまからのご意見・ご要望(「声」)をもとに、業務改善や製品・サービスの改善・開発につなげていく仕組みをグループ各社で構築し、活動を推進しています。
たとえばNTTコミュニケーションズでは、年1回のアンケート調査だけでなく、お申し込み時や各種サポートのご利用時など、さまざまなお客さまとの接点を通じてお客さまの声を収集し、サービスの充実や事業プロセスの改善につなげる取組みを強化しています。
グループ各社の取組み詳細は、各社のWebサイトなどをご参照ください。
NTT東日本「スマイル活動」
NTT西日本「ウィズ カスタマー活動」
NTTコミュニケーションズ「お客さまに向けた取組み」
NTTドコモ「お客様の声を活かした取組み」
ドコモ・インサイトマーケティングでは、人の動きを可視化する『モバイル空間統計』を提供しています。社会も経済も人の動きと深く紐づいています。よって、人の動きを『見える化』することのできる『モバイル空間統計』は、社会全体を支える基盤として必要不可欠な技術です。
特にコロナ禍においては、密の発生状況などの正しいデータを国民に届けることに大きく社会に貢献しました。
2020年4月の最初の緊急事態宣言の発令で、多くの人が外出を制限されることになりました。当時、感染予防のために『密』を回避しなければならない状況で、リアルタイムに特定の場所の混雑状況が分かる『モバイル空間統計』を使いたいと、昼夜問わずメディアから問い合わせをいただいていました。また一方で、メディアの色の付いていない中立な立場での情報も必要だと感じていました。そこで、誰でも見られる場所に『モバイル空間統計』を公開し国民一人ひとりにお届けしたいと考えました。混雑状況をヒートマップで可視化した人口マップを開発して、無償で一般公開し、大きな反響がありました。
NTTのサステナビリティ