気候変動をはじめ、社会の環境問題の解決に貢献することは、NTTグループの役割のひとつだと考え、温室効果ガス削減への取組みを続けています。パリ協定でも述べられていますが、環境問題の解決のためにICTを活用することの期待が高まっていることもあり、ICTサービスや最先端の技術を使って、社会の温室効果ガス排出量を減らしていくための取組みを進めています。
IOWNの導入や再生可能エネルギーの開発・利用拡大等により、NTTグループの事業活動および社会における温室効果ガス削減に取組んでいきます。
気候変動をおさえるための研究開発を進めたり、社員による自然保護活動への参加、環境貢献の内容を社内外へ広めて意識を高めていくなど、あらゆる活動を通じて社会全体からの温室効果ガス排出の削減に貢献していきます。
事業のエネルギー効率倍増に向け取組みます。(EP100)※1
2倍
2025年:電力効率(2017年度比)
NTTグループの事業活動における温室効果ガス排出量の9割以上を電力使用が占めており、また日本全体で発電される電力の1%相当を消費しています。
NTTグループでは、「TPR(トータルパワー改革)運動」と名づけた省エネ推進活動に一丸となって取組んでいます。保有するビルにおけるエネルギーマネジメントの推進、エネルギー効率の高い電力装置や空調装置、通信装置の導入や更改に努めた結果、2021年度も継続的な削減を実現でき、グループ全体で成り行きから約1.8億kWhの使用電力量を削減しました。
また、NTTグループは、事業継続リスクの回避と気候変動の緩和のために、電力の利用効率向上を推進しています。データセンターを含めた通信事業の通信量当たりの電力効率について、2025年度の目標を2017年度比で2倍に設定しました。2021年度は1.9倍を達成しております。
NTTコミュニケーションズはPUE※2=1.2、NTTコムウェアはPUE=1.1以下という世界最高レベルのエネルギー効率を有するデータセンターを擁しており、ほかのデータセンターにおいても「ICT分野におけるエコロジーガイドライン」にもとづき、最も省エネ性能の高いレベル(5つ星)の装置を導入するなど、PUE向上に向けた取組みに努めています。また、NTTファシリティーズでは、データセンターの消費電力を削減する技術開発に取組み、電源装置と空調装置の高効率化技術の確立やデータセンター向け統合空調制御システムにより、データセンターの低消費電力化に貢献しています。
情報通信関連製品の省エネ性能向上を推進している団体である「ICT分野におけるエコロジーガイドライン協議会※3」にTCA(電気通信事業者協会)のメンバーとして参画しています。協議会では、情報通信機器の省エネ性能の評価基準に関するガイドラインを策定しており、NTTグループはその作成に技術面で貢献しています。この協議会の定めるガイドラインを参考に、グリーン調達基準でICT装置の開発・調達の考え方を規定しています。こういったCO2排出量削減の取組みに対する自己評価結果の届け出により、NTTグループ8社※4で「エコ ICTマーク」を取得しました。
これは、ICT分野におけるエコロジーガイドライン協議会が定めたもので、電気通信事業者が適切にCO2排出量削減に取組んでいることを表示するためのシンボルマークです。NTTグループは、今後も同ガイドラインにもとづき省エネ開発・調達を強化するとともに、同協議会と協力しながら、ベンダとキャリアが連携した国内業界全体での省エネ調達の普及にも貢献していきます。このため、NTTグループにおける仕様化プロセスにおけるベンダへの要件提示を徹底するとともに、省エネ性能の情報公開など、企業姿勢も評価基準に含めたベンダ選定を進めていきます。
ICT分野におけるエコロジーガイドライン協議会
NTTドコモは、基地局のスリープ機能の高度化、自己学習機能を備える空調制御システムや5G省電力装置の積極的な導入をはじめ基地局装置の集約化、送電ロスの少ない高電圧直流装置からの直送供給などによって省電力化を図ることで、通信ネットワークの消費電力を削減する技術の開発・設備の導入を推進します。
NTTグループの年間電力消費量は日本全体の1%に及ぶと言われていますが、大きな割合をデータセンターが占めています。このデータセンターの省電力化に向け、NTTネットワークイノベーションセンタが研究開発しているのがパワーアウェア動的制御技術(PADAC:Power-Aware Dynamic Allocation Controller)です。PADACは、データセンターのサーバーリソースをソフトウエア制御することで省電力化を実現する技術です。単純な例で言えば、サーバーも家電と同じで、新しいほど省エネ性が高いもの。
これまで最新のサーバーも古いサーバーも半々で使っていたのを、状況に応じて使い分けるだけで、省エネ効果を見込むことができます。もちろん実際にはもっと複雑で、デバイスとアプリケーションの相性、温度、稼働率など、各種パラメータが最適なバランスとなるようソフトウエアで制御することをめざしています。プロジェクトに参画し、最初は社内にある技術の仮説を集めて精査することから始めました。『サーバーリソースを制御するソフトウエア』というテーマは共通していても、それぞれのメンバーが検討している技術を集めてみると、うまくかみ合わない。
研究者同士、意見が割れることもありましたが、それでもプロジェクトを進めることができたのは、NTTの研究者たちに共通する文化のおかげでした。NTTグループは伝統的に品質に対して妥協しません。そのうえで、NTTの研究所内でなされる議論には、きちんとサイエンスを重んじる文化が存在しています。相手が誰であれ、1対1の研究者同士として議論できる風土がある。これは当たり前だけれど、とても重要なこと。例えば、上司が『こうしたらいいんじゃない』と言っても『私はそう思いません』と返すことができるんです。
議論と試行錯誤の末、電力効率の高いサーバーリソースの制御パターンの抽出がおおむね完了し、現在は、特許化や論文執筆による技術の確立をめざしているほか、概念実証のためのプロトタイプの実装も進めています。
研究所で生み出した技術は、実際に利用されないと社会的な意義がありません。今後はPADACがさまざまな場所で使われ、カーボンニュートラルに寄与できるように、NTTグループ各社および外部の事業会社と連携していきたいと考えています。
IOWN導入による消費電力の削減により、NTTグループの事業活動および社会における温室効果ガス削減に貢献していきます。
IOWN導入等により消費電力を削減し、NTTグループの温室効果ガス排出量※1を成り行きに対して削減します。
※1GHGプロトコル: Scope1,2を対象
気候変動や大規模災害、パンデミックなど地球環境の変化に対応する社会の実現は急務です。次世代エネルギー技術とレジリエントな環境適応を可能にする技術の創出を通じ、地球環境への負荷を下げ自然破壊を抑制することで、これからも人間が環境と調和しながら生きてゆける持続可能な社会を実現します。IOWNの導入や再生可能エネルギーの開発・利用拡大等により、NTTグループの事業活動および社会における消費電力の削減に取組んでまいります。
ICTの発展にともない、ネットワークを流通する通信量が飛躍的に増大してきています。これまで、エネルギー効率の高い通信装置の導入や更改などによる電力効率の向上で省エネ化を実現してきました。しかし、ムーアの法則に沿って高性能・高効率化が進んできた電子回路技術は、微細加工や集積密度の制約により速度と消費エネルギーの面で限界が近づいているとされています。
NTT研究所では、光技術を信号処理に導入し、光電融合による新しいコンピューティング基盤の実現をめざした研究開発を推進し、世界最小エネルギーで動作する変調器や、光入力信号を別の光へ変換・増幅出力させる「光トランジスタ」を実現しました(2019年4月発表)。NTTグループでは、光電融合技術を発展させ、ネットワークから端末まで全てにフォトニクスベースの技術を導入するオールフォトニクスネットワークを柱の1つとしIOWN構想を立ち上げました。オールフォトニクスネットワークでは、フォトニクス技術適用部分の電力効率100倍を目標としており、ネットワークの抜本的な低消費電力化が期待されます。
光を通じた高効率化・低消費電力化
地球環境の保護や持続可能な社会の実現も多くの企業で経営テーマであることから、各種ICTサービスで顧客企業におけるこれらの取組みを支援していくだけでなく、NTTコミュニケーションズにおいては、NTTグループの次世代情報通信基盤「IOWN」をデータセンターやネットワークなどの各種インフラに積極採用することで省エネ化を進め、2030年までにデータセンターとネットワークにおけるカーボンニュートラル実現に向けた取組みを進めています。
これから未来に向けて、さまざまなビジネスを展開していく大きなきっかけになる可能性を持っており、最先端の通信インフラであるIOWNの最先端技術の活用について日本政府への紹介を行いました。IOWN導入による消費電力の削減とカーボンニュートラルへの貢献を通じて日本が世界をリードする大きなきっかけにしていきます。
NTT R&Dは、究極のフェールセーフを実現するMaaSや究極の臨場感を実現するエンターテイメントサービスなど、現在のインターネットでは実現できない新しいスマート社会の到来を思い描いています。新たな世界の実現のためには、超低消費電力・高速信号処理の実現や、現実と同等以上の仮想世界と高度な予測技術の融合など、現状技術の延長では達成できないイノベーションが必要です。私たちは新たな世界を実現するIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想を提案し、その実現に向けて取組んでいます。
2020年1月、業界におけるリーダーシップおよびIOWNの軸となる技術分野で優れた専門性を有するNTT・米 Intel Corporation・ソニー株式会社の3社でIOWN Global Forumを米国で設立しました。2020年3月からは広く会員募集を開始し、多くの国内外の企業がメンバーとして加入するとともに、オンライン会議を活用しながら、具体的な技術検討に着手しました。今後、さまざまなパートナーのみなさまとIOWN構想の早期実現をめざします。
さまざまなICTリソースを効率的に配備。私たちは、エレクトロニクスからフォトニクス(光)の世界へシフトさせ、世界中のさまざまな社会課題の解決や革新的サービスの創出に向けた技術開発を進めていきます。
IOWN構想の実現に向けた技術開発ロードマップ
「デジタル・ツイン・コンピューティング構想」の策定
ネットワークのみならず端末処理までを光化し、これまで実現困難だった超大容量、超低消費電力化、超高速処理を達成。一本の光ファイバ上で機能ごとに波長を割り当てる運用で、社会基盤を支える複数の機能を互いの干渉なく提供。
実世界におけるモノ・ヒト・社会に関する高精度なデジタル情報を掛け合わせ、大規模かつ高精度な未来の予測・試行や、サイバー空間上でのモノやヒト同士の高度かつリアルタイムなインタラクションを実現。
コグニティブ・ファウンデーション
コンピュータ間・内の伝送路や導波路を光による伝送に置き換えること、さらには演算処理を光で行うことで、電気での処理に起因する消費電力と発熱増大の問題を解決し、超低消費電力・高性能な情報処理を実現する光電融合デバイスの実現をめざし、これまでにナノフォトニクス技術を用いた光トランジスタや、超小型光電変換素子を実現しました。
現在の秒の基準であるセシウム原子時計を超える精度を持つ光格子時計の全国配備する光格子時計ネットワーク構想の実現をめざし、国立大学法人東京大学との光周波数伝送実験をNTT東日本の光ファイバ網を使用し行いました。その結果、光格子時計の精度を保ったまま長距離伝送可能であることを示し、構想の実現に向けて大きく前進しました。
基幹系の光通信ネットワークにおいてもさらなる大容量化の経済的な実現が求められています。私たちは独自のデジタル信号技術と超広帯域な電子・光デバイスを新たに開発し、1波長あたりのチャンネル容量を現在の実用システムの10倍以上高速化することで、毎秒1テラビット容量の長距離波長多重伝送実験に世界ではじめて成功しました。さらに、小型・広帯域のInP光変調器を一体集積した超高速小型光フロントエンドモジュールの開発にも成功しました。
無線の分野では、LTEやWi-Fiのおよそ10倍、5Gの5倍という大容量の伝送に2つの技術を用いて成功しました。
1つ目は、OAM多重という新原理とMIMO技術を組み合わせたNTT考案の方式による、毎秒100ギガビットの無線伝送です。
回転度合いが異なる複数の電波を生成し、同時に送信してもお互いに干渉せず通信できる方式であり、同時に通信できる量を飛躍的に増大させ大容量の伝送が可能になります。
2つ目は、国立大学法人東京工業大学と共同で開発した、300GHz帯を利用した毎秒100ギガビットの無線伝送技術です。300GHz帯を含むテラヘルツ波は、より伝送帯域を拡大しやすい一方で、きわめて高性能なデバイスが要求されますが、無線フロントエンド向け超高速ICを開発し、300GHz帯で世界ではじめて毎秒100ギガビットの無線伝送に成功しました。
電子回路におけるムーアの法則が限界に近づきつつあるなかで、光技術を融合させた高速で省エネルギーの新しいコンピューティング基盤の実現が期待されています。そのためには、光─電気間の信号変換や、光領域での高速信号処理など、これまで省エネ化が困難とされてきた技術が必要になります。
私たちは、以前より進めてきた、フォトニック結晶と呼ばれる半導体ナノ構造を用いたさまざまな超小型光制御素子の研究により、電気容量や消費エネルギーが極めて低いナノ光変調器(E-O 変換)とナノ受光器(O-E 変換)を実現しました。また、両者を集積させることでO-E-O変換型の光トランジスタも実現しています。このようなナノ光技術は、高速・省エネの光電融合型情報処理の実現への道筋となると考えています。
再生可能エネルギーを開発するとともに、利用拡大を推進します。
再生可能エネルギー利用を拡大し、NTTグループの温室効果ガス排出量※1を成り行きに対して削減※2します。
NTTグループでは、環境エネルギービジョンの実現に向けて、再生可能エネルギー※3(以下、再エネ)の利用拡大を進めています。2030年度には、NTTグループの再エネ目標のうち、半分程度をNTT所有電源でまかなうべく、再エネ電源の開発を進めていきます。
2021年度は、自社の消費電力量のうちグループ全体で18億kWh(消費電力の23%、前年度比で約150%)を再エネに切り替えました。
NTT持株会社では、NTT持株本社、ならびにNTT研究所4施設などで、2020年に再エネ電力※4への切り替えを進めました。また、2022年4月時点でNTT東日本グループでは初台ビルをはじめ132ビル、NTT西日本グループでは325ビル、NTTドコモグループでは55ビル等が再エネ導入済になっています。
太陽光、風力、地熱、バイオマスなどの再エネは、発電時に温室効果ガスを排出しないため、再生可能エネルギーの開発と利用拡大は、脱炭素社会の実現に欠かせない取組みとなっています。NTTグループでは、NTTグループの保有する技術やアセットを活用したスマートエネルギー事業の推進を目的として、2019年6月にNTTアノードエナジーを設立しました。同社は、脱炭素社会の実現およびエネルギーの地産地消の推進に向けて、①お客さまへのグリーンエネルギーソリューションの展開、②NTT自身の脱炭素化の推進、③蓄電所の活用による再エネの拡大を3本柱として事業を展開しています。
NTTアノードエナジーでは、お客さまやNTTグループ各社のグリーン電力ニーズにこたえるために、さまざまなパートナーと連携して、再エネ発電所の開発を進めています。開発にあたっては、持続可能性を重視して、生態系や住環境に配慮した開発に取組んでいます。構築した発電所で発電した再エネ電力は、お客さまのご要望に応じたメニューラインナップによりご提供しています。
オフサイト型コーポレートPPA※5の仕組みを活用し、NTTアノードエナジーが新設する太陽光発電所から調達する再生可能エネルギー由来の電力を、ネットワーク設備を収容しているNTTドコモ岡山ビルに導入しています。
今回導入したNTTドコモ岡山ビルにおける温室効果ガス排出量の削減効果(非化石証書を含む)は、年間約1万トンとなる見込みです。
※3非化石証書等の活用による実質再エネも含む。
※4再エネ指定の非化石証書などの提供も含む実質的な再エネ電力のこと
※5事業者が、電力消費者である企業・自治体等専用の再生可能エネルギー発電所を遠隔地に設置し、送配電網を介してその電力を長期間供給する。
再エネ電源の開発と合わせて、蓄電所の設置を通じて蓄電池の充放電によるエネルギーの安定化を図り、電力の地産地消を進めていきます。
NTTグループでは、日本全国に約7,300か所のNTTビルがあり、停電時の通信確保などのために約400万kWhの蓄電池を保有しています。これらの蓄電池を利活用し、再エネ拡大や電力系統安定化に資するための蓄電所事業を全国に展開します。これらの事業を通じて、NTTアノードエナジーは、グループ会社であるエネット、NTTスマイルエナジーと連携して、社会全体の脱炭素化に向けた課題解決に取組んでいきます。コーポレートPPA(Power Purchase Agreement:電力購入契約)は、お客さまの敷地内または遠隔地に専用の発電所を設置し、そこで発電する再エネ電力をご利用いただく形態です。
先進的な企業は、"追加性"(企業の選択した調達方法が再エネへの投資を促進し、化石燃料の代替に繋がっていることを表すもの)を重視しています。NTTアノードエナジーでは、"追加性"を満たした仕組みによりお客さまにコーポレートPPAの形態で再エネ電力をご利用いただいています。
NTTアノードエナジーは、セブン&アイグループとの協創により、セブン-イレブン40店舗およびアリオ亀有の店舗運営に100%再生可能エネルギーを使用する取組みを開始しました。NTTアノードエナジーがオフサイト型コーポレートPPA※1の仕組みで2つの太陽光発電所を設置し、送配電網を介して電力供給を行います。不足部分については、NTTグループが所有するグリーン電力発電所を活用します。
※1事業者が、電力消費者である企業・自治体等専用の再生可能エネルギー発電所を遠隔地に設置し、送配電網を介してその電力を長期間供給するオフサイト型コーポレートPPAは、国内初の取組みとなります。
NTTアノードエナジーは、奈良県生駒市において行う木質バイオマス発電事業(いこまプロジェクト)に参画しています。いこまプロジェクトは、年間約10万トンの木質燃料を使用し、発電規模9,980kW 年間約8,100万kWhを発電する発電所の建設、運営事業です。本事業の発電燃料には、近畿地域で発生する木質廃棄物・未利用木材等が使用されており、近畿地方の需要家様への発電燃料を含めた地産地消電力の供給が可能となります。また、発電量の約75%はFIT制度に頼らない非FIT電力として、カーボンゼロの電気が提供され、カーボンゼロのまちづくりに寄与していくことが可能となります。
NTTアノードエナジーとNTT西日本山口支店は、相互に連携し、山口市内の平川地域交流センターおよび大歳地域交流センターにおいて、NTTアノードエナジーによるグリーン電力の提供を開始しました。両センターに太陽光発電設備および蓄電池設備等の再生可能エネルギー供給設備を設置し、平時の電力供給に加え、停電時においても特定負荷(照明、防災無線、パソコン、通信機器等)へ電力を供給することで、避難所施設のレジリエンス向上に貢献します。
また、ICTを活用してクラウドにより発電電力量、気象情報、自家利用率、電池残量、自給量、消費量などを視える化し、それらの情報を同センター内のみならず、本庁など遠隔地においても閲覧できる機能を提供します。今後も、山口市スマートシティ構築の一分野として、再生可能エネルギーとICTを活用した「スマートエネルギー活用事業」の共同検討を通じ、地域課題の解決に向け取組んでいきます。
カーボンニュートラルに貢献するサービス等の提供を推進します。
再生可能エネルギーを活用したサービス等の展開、温室効果ガス削減の「見える化」など環境に配慮した新たなサービスを提供します。
IOWNの導入や再生可能エネルギーの利用拡大等、NTTグループの環境負荷を抑制するGreen of ICT に加え、社会全体の環境負荷低減に貢献するGreen by ICTにも取組んでいきます。
NTTドコモは、自社の事業活動での温室効果ガス排出量を2030年までに実質ゼロにする「2030年カーボンニュートラル宣言」を2021年9月に発表しました。
また、自社のみならず、お客さま・パートナー企業とともに社会全体のカーボンニュートラルに貢献するために、「あなたと地球を変えていく。」というスローガンを掲げています。ドコモでは、カーボンニュートラルに向けたサービスとしてグリーン5Gを提供しています。
スマートフォン・携帯電話を利用する際の電力というと、携帯端末本体の充電のイメージが大きいかもしれませんが、実は基地局や交換局を稼働させるモバイルネットワーク通信には、多くの電力を必要とします。
日本の電力はまだ化石燃料を用いて発電しているものも多く、地球温暖化の原因のひとつとされるCO2などの温室効果ガスの排出が伴っています。ドコモでは、太陽光発電を利用したグリーン基地局や、ドコモ専用に設置した太陽光発電所等で発電した再生可能エネルギー(コーポレートPPA※1)により、温室効果ガスを排出しない電力へ切り替えていきます。ドコモで消費する総電力量に占める実質再生可能エネルギー※2の比率を、総契約者数に占める5G契約者数の比率より上回ることで、温室効果ガス排出量を実質ゼロにしたグリーン5Gとして提供します。
NTTデータは、社会全体のカーボンニュートラル実現のため、温室効果ガス排出量可視化プラットフォームC-TurtleTMを提供しています。
昨今、企業には温室効果ガス排出量の可視化が求められていますが、算定方法の選択肢が数多く存在し、最適な方法の選定が難しい状況です。また企業の排出量は、「活動量(製品の購入額)」×「排出原単位(その製品で決められた固定の排出量(業界平均値))」で算定するのが一般的ですが、その方法では排出量削減のために、例えば従来製品からグリーン製品・サービスに切り替えたとしても、その削減効果が算定結果に反映されないという課題もあります。今回提供するプラットフォームでは、企業ごとに事業特性や保有するデータから適した算定方法の構築を支援する「可視化プロセス構築メソッド」や、サプライヤー企業の排出量削減の取組みを調達企業側の同削減に取り込める「サプライヤー別算定方式」を提供します。これにより、企業に応じて効率的かつ効果的に排出量を可視化できます。
国際NGOのCDPから提供されるグローバル各企業の排出量、売上情報を基に企業別排出原単位を算出しています。NTTデータは日本国内で唯一、CDPが保有する企業の排出量情報の使用許諾契約を締結しました。
地球環境負荷削減に向けた革新的な環境エネルギー技術を創出します。
次世代エネルギー技術などによるイノベーション創出を推進します
気候変動問題をはじめとしたさまざまな環境エネルギーに関する問題に対し、革新的な技術の創出に取組みます。2020年7月に、地球環境の再生と持続可能かつ包摂的な社会の実現を目的とした、NTT宇宙環境エネルギー研究所を設立しました。次世代エネルギーを含めたスマートエネルギー分野に革新をもたらす技術の創出と、地球環境の未来を革新させる技術の創出をめざします。
NTTグループが得意とする屋内での直流給電技術を屋外に発展させ、NTTビルと周辺地域の需要家を直流でつなぎ、効率良く電力を融通するとともに災害時においても電力を安定的に供給する高レジリエントな自律分散協調型のエネルギーネットワークの実現をめざしています。
また、サイバー空間上でエネルギーの需要と発電・蓄電情報を統合的にシミュレートし、最適解を実フィールドに戻して制御することで需給調和を実現する技術や、複数地域間で通信トラフィックや計算処理などの情報処理を空間的・時間的に再配置することで、気象で発電量が左右される再生可能エネルギーを効率的に利用する技術の実現をめざして研究を進めています。
半導体技術と触媒技術を活用した人工光合成(電気化学的アプローチ)と、植物や藻類の能力を最大限に活用する技術(生物学的アプローチ)を対象に、大気や水中のCO2を削減する技術の実用化開発に取組んでいます。
電気化学的アプローチでは、マテリアルズ・インフォマティクスを活用して、従来の経験則や既存概念では発見できなかったような材料の組み合わせについて検討しており、生物学的アプローチでは、サイバー空間上で多様な育成環境を再現し、ゲノム編集や環境制御の効果を検証したうえでリアル空間に戻して実証するようなデジタルツインを駆使した研究を進めています。
極端化する気象や環境に対し積極的に物理的に適応する研究テーマに取組んでいます。気象制御のひとつの対象として、雷についての研究も実施しています。
私たちは元々通信設備の雷被害対策に関する高度な技術を保有しており、この技術をさらに発展させた雷制御・雷充電技術についても研究しています。
具体的には、落雷エリアを高精度に予測し、ドローンを活用してドローンに落雷させる雷制御技術と、雷エネルギーを蓄える雷充電技術について研究しており、将来的には雷エネルギーを含む自然エネルギーのみで自律動作し、雷が落ちる前にエネルギーを吸収する浮遊型雷エネルギー吸収システムの実現をめざしています。
NTTは、株式会社ユーグレナと、中性子線※1を活用し、温室効果ガス削減やエネルギー資源創出などの気候変動に係る課題解決を目的とする藻類育種技術の実証実験を開始しました。本実証実験にて検証する技術は、藻類が有するCO2(二酸化炭素)吸収・固定能力やバイオ燃料の原料となる油脂生産能力などの有用な形質※2を中性子線照射による遺伝子変異※3導入によって高める技術です。中性子線は、他の放射線に比べて極めて透過性が高く、藻類のように溶液中での培養が必要な生物にも不規則且つ効果的にエネルギーを加えることが可能です。熱中性子と高エネルギー中性子を適切に選択して照射することにより様々な遺伝子変異導入ができるようになると、活用目的に合わせ有用性を高めた藻類を育種・生産することが可能になります。これにより、温室効果ガス削減やエネルギー資源生産だけでなく、食料資源や農林水産飼料の創出など、気候変動に係る様々な課題を解決する技術となることが期待されています。
人権、環境、安全等の社会的課題をふまえてサプライチェーンのあるべき・めざすべき姿を考慮し、NTTグループがサプライヤのみなさまに遵守を求める内容を記載した文書として、「NTTグループサプライチェーンサステナビリティ推進ガイドライン」を公表しています。
本ガイドラインでは、持続可能な社会の実現に向けて、サプライチェーンを構成する各社が主体的に取組むべき事項を記載しています。
「NTTグループサプライチェーンサステナビリティ推進ガイドライン」における環境に関する内容を補うものとして、「NTTグループグリーン調達基準」を公表しています。本基準では、NTTグループの環境活動の要旨、サプライヤのみなさまが考慮・参照・努めるべき事項や法令、調達にあたってのサプライヤ様や製品の評価項目等を記載しています。この文書は、海外を含むNTTグループ会社に適用します。
また、環境を含む各種ガイドライン・技術要件等の遵守状況を確認するために、NTTグループの調達額の上位(全調達額の90%以上)を占めるサプライヤ、重要部品のサプライヤ、代替不能なサプライヤを対象に「サプライチェーンサステナビリティ推進チェックシート」を利用した「サプライチェーンサステナビリティ調査(SAQ)」を実施し、環境面等のリスクを評価しています。2022年度からは、SAQ対象事業者のうち年間40~50社に対して「直接対話」の実施を開始しました。
NTTでは、サプライチェーン全体での環境面を含むリスク評価・特定に向けて、2021年度、サプライヤ様約130社を対象にサステナビリティに関する調査を実施しました。環境面では法令・行政報告対応やマネジメント方法、省エネ・脱炭素の取組み等の25項目の調査を行いました。
【調査項目の一例】
温室効果ガス削減活動について教えてください。
(選択肢)
NTTグループは、サプライチェーン全体でのCO2排出量の削減の取組みが評価され、国際的な環境分野の非政府組織CDPにより、「サプライヤーエンゲージメント評価*」において最高評価である「サプライヤー・エンゲージメント・リーダー」に選定されました。
サプライヤーエンゲージメント評価:企業の気候変動に関するサプライチェーンにおける活動を評価し、特に優れた取組みを行っている企業を「サプライヤー・エンゲージメント・リーダー」として選定。
NTTグループは、持続可能な社会の実現に向けたグループ全体での取組みにファイナンス面を含めてより強くコミットし、強力に推し進めていくことを目的に、NTTグループグリーンファイナンスフレームワークを策定しています。本フレームワークは2020年6月にNTTグループグリーンボンドフレームワークとして策定して以来、グループの持続可能な社会の実現への取組みに合わせその内容を改訂してきました。
グループの金融中核会社であるNTTファイナンスは、このグリーンファイナンスフレームワークに従って、グリーンボンドの発行またはグリーンローンによる調達を実施します。
調達した資金は、グループ各社の環境課題の解決に資するプロジェクトへ投資されます。
資金調達にあたっては、NTTファイナンスはNTTグループサステナビリティ憲章との適合状況を踏まえた投資プロジェクトの評価・選定を実施します。また、調達資金を一元管理し、プロジェクトへの充当状況を確認します。当社グループは年次にて、資金の充当状況およびプロジェクトの環境へのインパクトをレポートします。グリーンファイナンスフレームワーク、および資金充当レポーティング・インパクトレポーティングについてはNTTファイナンスのホームページにて公開しています。
(
https://www.ntt-finance.co.jp/ir/greenbond/index.html?link_id=g41l
)
■グリーンボンドの発行状況
■グリーンファイナンスフレームワーク対象プロジェクト
自然(地球)との共生