気候変動問題をはじめとした環境問題は年々深刻さを増しており、 世界規模での自然災害の巨大化など社会経済へ与える影響が大 きくなってきています。NTTグループは「 Your Value Partner」 の経営理念のもと、持続可能な社会の実現に向け、気候変動問題 の解決を、重要な企業活動のひとつと捉え、取組みを推進しています。
2021年9月に、「事業活動による環境負荷の削減」と「限界打破 のイノベーション創出」を通じて、「環境負荷ゼロ」と「経済成長」 を同時実現する新たな環境エネルギービジョン「 NTT Green Innovation toward2040」を策定しました。日本の長期目標 である2050年カーボンニュートラルを10年前倒し、NTTグルー プは2040年度カーボンニュートラルをめざします。その中間マイ ルストーンとして、2030年度までに温室効果ガス排出量を 2013 年度比で80%削減することをめざし、特に、電力消費量の増加が見込まれるモバイル(NTTドコモ)とグローバルに展開す るデータセンターについては2030年度カーボンニュートラル実現をめざします。
具体的には、「IOWN構想(アイオン:Innovative Optical and Wireless Network)」を推進することにより、ネットワーク等の圧倒的な低消費電力化を実現し2040年度には温室効果ガス排出量を45%削減します。併せて、省エネの取組みを強化し、排出量を10%削減します。また、利用電力を再生可能エネルギーに順次切り替えていくことにより、2040年度に温室効果ガス排出量を45% 削減します。また、資金調達の面でもグリーンを意識し、「 5G関連投資」、「 FTTH 関連投資」、「 IOWN 構想実現に向けた研究開発」、「再生可能エネルギー投資」を対象として本年度約5,000億円のグリーンボンドの発行を行い、持続可能な社会の実現に向けた取組みを推進していきます。
NTTは、自身の環境負荷削減と合わせ、社会全体の環境負荷削減に貢献する取組みも推進していきます。低消費電力化が見込まれるIOWNについては、通信分野のみならずコンピューター等のさまざまな産業分野に普及・拡大を進めることで、2040年度に日本全体の4%の温室効果ガス排出量削減(世界全体では 2%の削減)に貢献していきます。また、2020年5月には、日本の民間企業として初めて、ITER国際核融合エネルギー機構と包括連携協定を結び、将来の夢のエネルギーである核融合炉の 成功に向けて、 IOWNの超低遅延な高速大容量ネットワークと、 デジタルツインコンピューティングでサポートしていきます。
2020年7月には「 NTT宇宙環境エネルギー研究所」を設立し、地球環境の再生と持続可能な社会の実現をめざす研究を推進しています。これらに加え、NTTドコモは2022年3月より「ドコモ でんき」としてグリーン電力を消費者の皆様に提供開始します。こういった取組みを通じ、社会全体の環境負荷削減に貢献していくことをめざします。
社会への開示と透明性の確保も重要です。NTTは、2020年 5月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明しました。TCFDは、2015年のパリ協定で定められた 「地球の平均気温を産業革命前の+2℃に抑える」ことをめざすことを目的に投資家が適切な投資判断ができるように、企業に気候関連財務情報開示を促すスキームです。NTTは、TCFD にもとづいた気候変動関連の情報開示を行いつつ、自社の持続的な成長戦略を進化させていきます。
また、新たな環境エネル ギービジョン「 NTT Green Innovation toward2040」の策定に合わせて、NTTグループの2030年度の温室効果ガス排出削減目標を、Science Based Targets(SBT)の「2℃未満水準」( 2020年度認定)から、「 1.5℃水準」に引き上げる申請を行い、2021年12月に認定を取得いたしました。NTT グループは、引き続き先進的な目標を掲げ、気候変動対応に取組んでまいります。
社会の環境負荷削減を実現するためには、従来の資源・エネル ギー消費型の事業活動を、脱炭素型・循環型の事業活動に大きく転換していく必要があります。今回策定したビジョンの重要性を従業員と経営陣が共に理解し、従業員が自律的かつ主体的行 動を発揮することで初めて、脱炭素・循環型の業務プロセスに 進化していことが可能になります。従業員と経営陣が一丸となってスクラムを組み、脱炭素・循環型社会にむけて貢献してまいります。
自然(地球)との共生