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レジリエンス

レジリエンスに関する戦略①〈自然災害、大規模故障等〉

NTTグループは国内外において事業を展開しており、通信ネットワーク・情報システムをはじめ、社会 と経済活動を支え、国民生活の安全を守るライフラインとして欠かせないサービスや金融・決済等生活 基盤を支えるサービスを数多く提供しています。これらのサービス提供に関して、地震・津波・台風・洪水 等の自然災害、武力攻撃やテロ等の物理的な攻撃、重要システムにおける開発遅延や不具合、大規模な ネットワーク故障の発生等によりお客さまへのサービス提供に影響を与える場合があり、NTTグループ の信頼性や企業イメージが低下するおそれがあります。 リスク

このようなリスクへの対応として、NTTグループでは、通信ビルの耐震機能・水防機能の強化、伝送路 の異経路化、長期停電に対する通信ビル・基地局の非常用電源の強化等サービス提供に必要なシステ ムやネットワークを安全かつ安定して運用できるよう様々な対策を講じています。特に大規模故障への 具体的な対策として、迅速かつ的確なサービス復旧を行うとともに、故障原因を早期に究明し、①顕在化 したリスクのグループ横断的な総点検・再発防止、②想定外のことは必ず起こることを前提に、グループ 横断的なリスクの棚卸に基づく、より強靭なネットワークの実現に向けた施策をグループ全体で実施し ていきます。 リスクへの対応

機会への対応としては、ネットワークの強靭化や復旧対応の迅速化等を通じて、通信ネットワーク・情 報システムの信頼性が高まれば、顧客満足度やブランドイメージの向上につながると考えています。ま た、更なる信頼性を求めるお客さまに対しては、BCPを強化するソリューションのラインアップを充実す ることで新たな価値を提供します。 機会

自然災害、大規模故障等に関する指標及び目標

(注)1. 上記指標の集計範囲は、いずれも国内主要6社(当社、NTTドコモ、NTTコミュニケーションズ、NTT東日本、NTT西日本、NTTデータ)です。
2. 当社における本報告書提出日現在の女性の役員比率は、取締役30.0% 、監査役40.0% 、執行役員40.0%です。
・緊急通報(110、119等)を扱う音声サービス:1時間以上かつ3万人以上
・緊急通報を扱わない音声サービス:2時間以上かつ3万人以上、または1時間以上かつ10万人以上
・インターネット関連サービス(無料):12時間以上かつ100万人以上、または24時間以上かつ10万人以上
・その他の役務:2時間以上かつ3万人以上、または1時間以上かつ100万人以上

災害対策の取組み

NTTグループでは指定公共機関として緊急通信や重要通信を確保できるよう、日々対策に取り組んでいます。また、近年、巨大化・広域化・長期化する災害の多発に加え、武力攻撃やテロ等の物理的な攻撃リスクが高まっています。通信設備やサービスへの影響の増大や復旧の長期化を踏まえ、設備の強靭化や復旧対応の迅速化を推進しています。

レジリエンスに関連する新中期経営戦略の取組み(事業基盤の更なる強靭化)

これまでの通信故障等の反省や教訓を活かし、大規模故障やサイバー攻撃等の発生を踏まえた強靭なネットワーク/システムを実現し、社会インフラを強化します。また、激甚化する自然災害等への対策を強化します。この実現に向け、2025年度までに1,600億円※1規模の投資を実施します。

強靭なネットワークシステムの構築に向けては、今後、想定外の事象にも対応できるよう、「想定外の事象は必ず起こる」ことを前提に置き、人的ミスや故障発生の未然防止策を講じるとともに、故障が起きてしまった際の影響を最小化する取組みを進めていきます。

加えて、災害対策の更なる強化と世界標準のサイバーセキュリティ対策を進め、安心・安全なサービス提供に取り組みます。

レジリエンスに関する戦略①〈セキュリティ〉

サイバーテロ等のセキュリティインシデントにより、サービス停止・サービス品質の低下や情報の漏 洩・改竄・喪失が発生した場合、NTTグループの信頼性や企業イメージが低下、ひいては経営成績や財 政状態に影響を与える可能性があります。 リスク

このようなリスクへの対応として、NTTグループでは、「サイバーインシデントは必ず起きる、被害の 最小化が大切」という考えに基づいて、「三線防御」の原則の導入、セキュアなリモートワーク環境の実現 に向け、グループ全体で守るべき規程の抜本見直しとゼロトラスト型ITシステムへの移行、グローバル な脅威情報の収集/活用、早期検知・迅速対応のための最新技術の導入、セキュリティ対策の攻撃者目 線での検証、万一のインシデント時の対応演習、社員全員に向けた基本動作研修等の取組みを通じて、 リスクベースでの情報セキュリティ対策に取り組んでいます。 リスクへの対応

機会への対応としては、最新技術と高度知識を持つセキュリティ専門人材を育成するとともに、上記リ スクへの対応を通じて蓄積されてきた知見や情報を活かし、グループ外の企業やコミュニティに対する リスク対策支援サービスの提供等にも取り組んでいます。 機会

セキュリティに関する指標及び目標

(注)外部からのサイバー攻撃に伴う電気通信サービス停止件数の集計範囲は、指定公共機関である通信4社(NTT東日本、NTT西日本、NTTコミュニケーションズ、NTTドコモ)です。

推進体制

NTTグループがめざすセキュリティガバナンス

TOPICS

セキュリティの高度化① ~グローバル連携~

グローバルな脅威情報の収集/活用

NTTは、サイバーセキュリティとレジリエンスに対する米国政府のイニシアティブである、共同サイバー防衛連携(JCDC、Joint Cyber Defense Collaborative)にアジアで最初のメンバーとして加入しました。

2021年に米国サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)によって設立されたJCDCは、官民合同のサイバー防衛計画、サイバーセキュリティ情報の融合、重要インフラ、及び国家重要機能へのリスクを低減するためのサイバー防衛ガイダンスの普及を主導しています。メンバーは民間企業としては、AT&T、Verizon、Lumen、Microsoft、Google、Cisco、Mandiant、Palo Alto Networks等のいわゆる大手通信企業、メガテック企業、主要セキュリティ会社であり、加えて米国政府のインテリジェンス関連省庁が名を連ね、米国にとっての友好国のサイバーセキュリティ関連省庁も参加しています。NTTは、JCDCから得られるグローバルなインテリジェンスを活用し、重要な情報ネットワークの保護や、サイバーインシデントへの対応等をより効果的に実施することが可能となります。また、NTTは他のJCDCメンバーとの情報共有を通じ、サイバーセキュリティに関する取組みをさらに推進することができます。

これまでのCISA、並びに米国政府との協力・信頼関係を基に、JCDCにアジアからのユニークな視点を提供するとともに、NTTのリーダーシップ、及びセキュリティに関するグローバルな経験や幅広い専門知識を共有します。サイバーセキュリティをめぐりグローバル規模で不透明な時代が当面続くと思われますので、私たちの日常生活を支える重要な社会インフラシステムを脅かすサイバー攻撃を防御するために、サイバーセキュリティの官民連携は、米国とのみならず、国際的に必要とされるものと確信しています。

セキュリティの高度化② ~攻撃者目線での防御~

レッドチーム

NTTでは、2019年にレッドチームを設立しました。レッドチームとは、外部の攻撃者の視点に立って疑似的なサイバー攻撃を行うチームです。サイバーセキュリティにおける攻撃と防御の関係はいたちごっこのようなところがあり、どんなに防御をしても次々と新しい攻撃手法が編み出されてしまいます。また、攻める方は何度でも様々な攻撃を仕掛けてそのうち1回成功すればよいのに対し、守る方はすべてを守り切らなければならず、攻撃者優位の構図にあります。こうした状況に対応するため、内部に疑似的攻撃チームを持って、攻撃者目線で対応策を練るという発想に立って作られたのがNTTのレッドチームです。その目的はあくまで防御力の向上であり、したがって活動も疑似攻撃を行ったら終了ではありません。疑似攻撃の後に、対象となったシステムの脆弱性や組織としての課題を分析・整理して報告し、改善のアドバイスまで提供すること、場合によっては改善の実行支援まで行うこと、それがNTTのレッドチームの活動内容です。

バグ・バウンティ・プログラム

NTTでは、2022年にバグ・バウンティ・プログラムの試験運用を行い、2023年から本格的に開始しました。バグ・バウンティとは、情報システムに潜むセキュリティの穴を見つけた人に支払う報奨金です。NTTではこの制度を以下の目的で実施しています。

①悪意ある第三者に脆弱性を悪用される前に発見・対処することで、NTTグループのセキュリティレベル向上をめざす。

②参加する社員に攻撃者目線でのセキュリティスキルを研鑽する場を提供することで、セキュリティ人材の育成を図る。

試験運用では、会社のセキュリティ向上に貢献するだけでなく、潜在的なセキュリティ人材を発見し、さらには腕を磨く効果もあることがわかりました。本格運用は2023年から始まったばかりなので、継続的に洗練度を高めていくことになりますが、その過程でセキュリティ向上は全社員参加・会社全体で進めるもの、という意識も広めていきます。