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Innovative Optical and Wireless Network
IOWN

APN IOWN 1.0 の提供開始

2023年3月、NTT東日本及びNTT西日本は、IOWN構想の実現に向けた初めての商用サービス(高速広帯域アクセスサービス powered by IOWN)として、通信ネットワークの全区間で光波長を専有するAPN(ALL-PhotonicsNetwork:オールフォトニクス・ネットワーク)の提供を開始しました。通信ネットワークの全区間で光波長を専有、インターフェースに光伝送網の多重収容を実現するOTU4※1を採用することで、従来比1/200の低遅延※2、ゆらぎゼロ※3を実現します。

従来のIP/Etherサービスの場合、遅延の生じ方が一定ではないため遅延の予測が難しく、細かく複雑な作業を遠隔で実施することは困難でした。APNを利用することで、ゆらぎがなくなり、遅延が一定になることでその予測が可能になり、様々なサービスへの応用が可能になります。さらに、遅延の調整と可視化により、遠隔地間の接続でタイミングを合わせることも可能になります。

※1ITU-Tで国際標準化された光伝送網規格。高速広帯域アクセスサービスのインターフェースとして提供

※2同一県内で圧縮処理が不要となる映像トラフィックでの遅延

※3時分割多重方式(送信する時間を固定化して情報を区別)を採用することで、トラフィック状況による遅延やパケットロスを抑制

APNとは?

現在のネットワークは、光信号と電気信号の変換を多数実施することにより、多くの電力を消費しているほか、通信トラフィックの制御処理により遅延が発生します。APNは、最終的にこれらをすべて光にすることで、現在よりも低消費電力で、大容量かつ低遅延なネットワークを実現します。

IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想とは?

光を中心とした革新的技術を活用した高速大容量通信、膨大な計算リソースを提供可能な、端末を含むネットワーク・情報処理基盤の構想がIOWNです。APNに加え、サイバー空間上でモノやヒト同士の高度かつリアルタイムなインタラクションを可能とするデジタルツインコンピューティング(DTC)、それらを含む様々なICTリソースを効率的に配備するコグニティブ・ファウンデーション(CF)の3つの主要技術分野で構成されています。

APN IOWN 1.0 の適用例

パートナーとの協創

APN IOWN1.0を有償でご利用いただくことを前提としていただいている企業・団体の皆さま(下図)をはじめ、様々な分野のパートナーとなり得る皆さまと議論を進めています。APNIOWN 1.0を活用したビジネス実証や新たなビジネス創造をパートナーの皆さまとともに推進していければと考えています。

光電融合デバイスの今後の展開

2023年3月に提供を開始したAPN IOWN1.0は、"超低遅延"が大きな価値となっていますが、APNの最大の特徴は電力効率の向上であり、そのためのキーとなるのが光電融合デバイスです。光電融合とは、光回路と電気回路を融合させ、小型・経済化に加えて、高速・低消費電力化等、様々な性能向上を図るもので、これをネットワークだけでなく、コンピューティングの世界まで適用することで大幅な電力削減を図ろうとしています。

光電融合デバイスに関しては、まず2023年度にネットワーク向け小型デバイスを適用した低電力デバイスを商用化予定です。これは、今まで複数のデバイスだったものを同一パッケージに組み込み、大幅に小型化することで、低電力化を図るものになります。

次に、2025年度に、ボートとボード間やボードと外部インターフェース間の接続に光を利用することが出来るようになるボード接続用光電融合デバイスを商用化予定です。これにより、ネットワークだけでなくコンピューティングにおける光の利用が可能になります。

その後、2029年度を目標にボード内におけるチップ間も光電融合技術で接続できるようにし、2030年度以降にチップ内も光で接続できるようめざしています。

上述の光電融合デバイスをAPNのサービス及びサーバーにも適用していくことでIOWNの高度化を図っていきます。まず、2023年度には、ネットワーク向け小型デバイスを低電力化し、APNサービスに適用していくことで、APNサービスの電力効率を高めていきます。

次に、IOWN2.0として、2025年度から、ボード接続用デバイスを、APNサービスだけではなく、サーバー分野にも利用することで適用範囲を広げていきます。

現状のスケジュールでは、2026年度には、この光電融合デバイスを使った低消費電力サーバーを商用化する予定です。

さらに、IOWN3.0として、2029年度を目標にチップ間向けデバイスを開発し、2030年度以降にIOWN4.0としてチップ内を光化することで、電力消費の大幅削減を図っていきます。

IOWNの目標性能

光電融合デバイスに加えて、波長技術や光ファイバー技術の向上等も踏まえることで、2025年度からのIOWN2.0では、APN部分で電力効率が13倍、サーバー部分で8倍となり、大容量化は6倍以上となる予定です。

また、2029年度からのIOWN3.0では、更なる性能向上を図り、大容量化は、125倍を達成できる見込みです。

電力効率も、装置への展開次第ではありますが、IOWN2.0よりも性能を向上させ、サーバー部分では、従来に比べて20倍程度の向上を達成する予定です。

その上で、2030年度以降のIOWN4.0の際には、電力効率が全体で100倍、大容量化は125倍、遅延は1/200という目標を達成させたいと考えています。