まずは、歌舞伎や超歌舞伎について学ぶ講座に臨みます。
最初の講師は、今回の超歌舞伎で敵役を演じる歌舞伎俳優の澤村精四郎さん。
江戸時代から400年以上続く歴史や、正義が悪を倒す物語、すべて男性が演じることなど、歌舞伎の特徴について分かりやすく解説してくれました。特派員たちが熱心にメモを取り、積極的に質問する姿に感銘を受けた精四郎さんは、一つひとつに丁寧に答えてくれました。最後は、歌舞伎俳優を屋号で呼ぶ掛け声「大向う」の練習も。特派員たちは精四郎さんの屋号「紀伊國屋」を元気よく呼びかけ、歌舞伎の雰囲気を体験しました。
続く超歌舞伎講座の講師は、NTTの薄井宗一郎さんです。
超歌舞伎とは、歴史ある歌舞伎を発展させてきた松竹、ニコニコ動画などでサブカルチャーをけん引してきたドワンゴ、通信技術をリードしてきたNTTの3社が、それぞれの強みを活かしリアルとバーチャルを組み合わせて作り上げた全く新しい歌舞伎演目。
NTTは、最新の通信技術で日本を代表する伝統文化の歌舞伎の表現や演出の幅を広げ、時間や空間、距離や言葉の壁を超えることに挑戦。歌舞伎の魅力を、より多くの人に体験してもらうことを目指しているそうです。
今回の超歌舞伎は、IOWNの技術で日本と台湾の会場をつなぎ、両会場の舞台をリアルタイムで連動。離れた場所にいる演者の一体的なパフォーマンスを、両会場の観客が同時に楽しむ世界初の取り組みです。
主役の中村獅童さんとスクリーンに映し出された台湾会場の演者が共演する場面では、ぴたりと合った足拍子が披露されました。
また、観客がペンライトを振って参加する演出も超歌舞伎ならではの演出。枯れてしまった千本桜をもう一度咲かせる場面では、ペンライトを振れば振るほど桜の花が満開になっていきました。
今回の体験を通して、特派員たちは、伝統芸能とテクノロジーが出会うことで生まれる、新しい表現のかたちを知ることができました。リアルとバーチャルがひとつになる舞台。その可能性は、距離や言葉の壁をこえて、もっと多くの人と感動を分かち合える未来へとつながっています。そんな「あたらしい歌舞伎のかたち」が、未来の伝統になっていくのかもしれません。