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Well-beingの最大化 「もう一つの職場」が生み出す新たな地域コミュニティー NTTアーバンバリューサポート株式会社  リレーション推進本部 岸田睦美

持続可能な社会の実現に向けて、NTTグループではSelf as We (「われわれ」としての「わたし」)という考え方を掲げています。自分だけでなく周囲の人間もSelfとして考える。人間だけでなく自然も文化もSelfと捉える――「自己」の視点だけでは解決できない社会課題を「利他」の視点を持つことで解決していけるのではないか。特集Team Self as Weでは、そんな思いを共有し、プロジェクトに取り組む社員たちをご紹介します。第2回は、快適な職場環境の提供と「居場所づくり」 から地域貢献をめざす、NTT アーバンソリューションズの岸田睦美さんです。

社員の健康を守りつつ、オフィス同様の環境を

コロナ禍により最初の緊急事態宣言が出された2020年4月、多くの企業で従業員が出社を控えざるを得ない事態となりました。リモートワークを前提にした働き方へ移行することになった企業とそこで働く人々は、リモートワーク固有の新たな課題と向き合うことになります。それはNTTグループにおいても例外ではありませんでした。

「東京オリンピック・パラリンピック開催時の交通インフラの混雑等も想定し、NTTグループではコロナ禍以前から月8回のリモートワークを可能とする制度がありました。しかし、コロナ禍でNTTグループを挙げて全面的に出社を控えることになったことで、リモートワークならではの課題が生まれました。自宅にPCや周辺機器があってもオフィスのように仕事に特化した設備には程遠い、自宅にパートナーや子どもがいる状況では仕事に集中できない──」(岸田 睦美、以下同)

全世界で900社以上、約33万人の社員に支えられているNTTグループ。その背景には、社員の数だけ家庭の事情や環境があります。従来のオフィスでもなく、自宅でもない。リモートワークに適した場所を早急に用意することが必要となりました。

「コロナ禍でも社員・社会の健康を守りながら、事業を継続していかなくてはいけない」

社員が生き生きと働ける環境を自ら選択できるようにするため、NTTグループ社員に向けたサテライトオフィス開設プロジェクトが始まりました。

「私たちが先陣を切って示す」。サテライトオフィスを一気に増設

NTTグループは、通信設備を設置している「局舎」を国内約7000カ所に所有しています。都市部だけでなく、住宅街など、全国津々浦々に存在する局舎。その中からいくつかの局舎を全国のNTTグループ社員向けの郊外型サテライトオフィスとして利活用しようというのが、今回のプロジェクトです。しかし、実現にあたってはいくつものハードルがありました。

「NTTグループの局舎といっても、建物の構造も違えば、入館方法も違う。きちんとしたビルのような場所もあれば、ぱっと見て広い庭にポツンと物置のようなものがあるだけ、という場所もあります。各局舎の管理部署と個別に交渉をして、局舎ごとにサテライトオフィスとして利用するための設備の調達や入館ルールなどを考えていかなくてはなりませんでした」

サテライトオフィスとなる局舎ごとに細かな対応が必要な状況。しかし、プロジェクトチームは最初の緊急事態宣言の半年後になる2020年10月に1拠点目を開設したのを皮切りに、2020年度中に10拠点、2021年度にはさらに50拠点という異例のスピードで、次々にサテライトオフィスを開設させます。

開設1拠点目のサテライトオフィス登戸の様子

「当時、政府からも企業に向けて出社率を抑える要請が出ていました。私たちNTTグループが先陣を切って、リモートワークを推進するという姿勢を社会に示していかなければならない。『コレ』と火がついたら一直線にそこへ向けて走れるのは、NTTの社風だと思うんですよね。グループ全体で意識が共有されていたのが大きかったように感じます。
プロジェクトチームも、通常であれば綿密に計画してから実行するところを、まずは実行に移してからPDCAを回そうという姿勢で推進しました」

「地域コミュニティー」という価値の創造

NTTグループ内で徐々に広がっていったサテライトオフィスには現在約5000人が利用登録しています。利用率向上のためにソフト・ハードの改善や利用者の問い合わせ対応をする岸田さんのもとには、「働きやすくなった」「良い環境をありがとうございます」などの声が届いています。また同時に利用者の声からもまだまだ課題があり、より利用しやすい環境づくりに取り組んでいるとのことです。

早急に社員の働く環境を用意する必要があった緊急事態宣言下を経て、ウィズコロナ、アフターコロナに向けた長期的なビジョンが生まれてきた昨今では、これらのサテライトオフィスは、社員一人一人が働きやすい環境を用意することに役割がシフトしています。その中で、サテライトオフィスのコミュニティーとしての価値が改めて見直されているそうです。

「サテライトオフィスは無人で運営されています。そのため、利用者の協力も不可欠です。運営者・利用者が一体となって働きやすい環境・コミュニティーを作っていけたらと思っています。
実際にいくつかの拠点では利用者同士で気軽なコミュニケーションを取ることで、とても良い雰囲気が出来上がっていて、利用者からサテライトオフィスの在り方について大きなヒントを得た瞬間でした。コミュニケーションがあって互いを知っている、また、同じ地域に住むご近所さんでもありますから、サテライトオフィスの利用者同士が子育てや介護などの私生活の困り事を相談し合ったり、帰宅途中にお茶をして親睦を深めたりする、そんな仕事を越えた関係に発展していけば良いなと思います」

サテライトオフィスでのつながりをNTTグループ連携へ広げる

サテライトオフィス浦安行徳

リモートワークによって希薄になってしまいがちな「つながり」を再構築する場所としても期待されるサテライトオフィス。

「コロナ禍を経て、人と人とのつながりやコミュニケーションの重要性が再認識されたと思うんですよね。サテライトオフィスという場所にはNTTグループのさまざまなバックグラウンドの方々が集まりますので、仕事だけでなくて、ちょっとした会話ができる地域のコミュニティーになってほしいと思います。そこで生まれた会話をきっかけに、その地域に貢献するようなビジネスが、NTTグループを横断して生まれたら面白いですよね」